青柳のイニング途中の降板は、交流戦を除いて今シーズン初めての出来事だった。7回を終えて92球を数えた右腕は、8回に同点に追い付かれた時点でベンチに下がった。

山田 中日が青柳対策として左打者を並べた影響もあったのだろうが、いつものようにボールをちらせなかった。少しずつ狙ったところからボールがずれたような投球だった。ベンチはできれば完投ぐらいの腹づもりだったと思うがスンナリとはいかなかった。青柳、大野雄の投げ合いは、どちらも点をとったら、とられるという意外な展開になった。

青柳が8回に同点とされ、なおも1死二塁のピンチを残したが、リリーフした湯浅が後続を断った。その裏の阪神が2点をリードすると、9回は岩崎が走者を出しながらも逃げ切った。

山田 8、9回は“綱渡り”だった。ピッチャーのパフォーマンスからは全体的にバテがきているようにみえる。湯浅にしても打者が困っているような投球ではないから、慣れられてきた。ただ湯浅、岩崎らに休養を与えながら使っているが、8、9回を任せるピッチャーを休ませながら起用しているうちはシーズンを通して勝ちきれない。本来はベンチに置いて、そこでうまく休ませながら、やりくりしていくのがベンチワークという腕の見せどころのはずだ。独走しているならまだしも、追いかけているチームにピッチャーに休養を与えている余裕はないはずだが、やはり勝ちパターンの人材はシーズンを通して投げてもらいたいし、やりくり上手になってほしいものだ。

リーグ戦再開後の阪神はDeNAに勝ち越したものの、広島には勝てないままで9敗2分けの重苦しさ。最下位の中日にも足をすくわれかねなかった。

山田 中日のほうはもったいないゲームをした。ピッチャーに疲れが出始めている阪神は、この時期にリリーフの整備、配置転換などはしにくい。先発を引っ張りたいだろうが、そこを打つほうでどれだけ得点力を上げてカバーできるかにかかってくる。【取材・構成=寺尾博和編集委員】