DeNA山崎康晃投手(29)が、阪神戦で今季30セーブ目を挙げ、プロ野球史上最年少で、史上8人目の通算200セーブを達成した。球団OBで日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏が見た、山崎とは?

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山崎が200セーブの年少記録を塗り替えてくれた。1年目から抑えを務め、大きなけがもなく、多くの試合数を投げてきた証しだ。3イニングが普通で、時に5イニングを投げた自分は、200セーブまでに肘を手術をしていた。残念ながら亡くなってしまったが、丈夫な体に産んでくれたお母さんに感謝してほしい。

直球と落ちる球という投球の組み立ては、私と同じだ。実は2年ほど前、三嶋にクローザーを譲り、悩んでいた時期に話をしたことがある。ツーシームが落ちなくて空振りが取れず、困って投げる直球を打たれていた。「基本は真っすぐだよ」と直球を磨き直すようアドバイスを送った。本人もおそらく、同じことを感じていたと思う。今年は直球の勢いが戻って来た。

年少記録は、本当によくやっていると思う。つらい時もあっただろう。抑えは、抑えて当たり前。新聞記事になるのは打たれた時。本当に大変な仕事だが、今年はチームも調子がいいので、今までとは違う、やりがいを感じているはずだ。この緊張感は、弱いチームでは味わえない。

首位ヤクルトとゲーム差が詰まり、9月は試合数も多い中で、負けられない戦いが続いていく。1ゲームの大きさがプレッシャーになる。でも、そこが抑えとして一皮むける要素になる。自分のためではなく人のため、チームのために頑張る経験が、これからの山崎の野球人生に絶対に生きるはずだ。

200セーブという数字のプレッシャーは消えた。これは通過点。抑えは名球会(250セーブが入会規定)に3人しかない。4人目として、ブレザーを着せられる日を楽しみにしている。(日刊スポーツ評論家)

阪神対DeNA DeNA山崎(右)は通算200セーブを達成し伊藤光とハグする(撮影・上山淳一)
阪神対DeNA DeNA山崎(右)は通算200セーブを達成し伊藤光とハグする(撮影・上山淳一)