日刊スポーツの評論家として、5年ぶりに復帰しました。この間、日本ハムで2年、ヤクルトで3年、コーチを務めさせていただきましたが、その経験を生かして、頑張ろうと思います。読者の皆さん、よろしくお願いします!

巨人キャンプを視察させてもらいました。久しぶりの古巣チームのキャンプだったのですが、新鮮に感じました。その中で特に印象に残ったのが、プロ入り3年目を迎える秋広でした。

2メートルを超える長身で、ルーキーイヤーから注目されていた選手です。しかし昨年ヤクルトの2軍コーチで敵チームとして戦っていたときは、それほどいい選手には思えなかったというのが正直な気持ちでした。それでも今キャンプでのフリー打撃を見て、なぜ注目を集めたのかが分かりました。

フリー打撃でバットの芯で捉えたときの打球は、目を見張る迫力があります。手足が長いだけあって遠心力も利くのでしょう。打ち損じて高々と上がった打球でも、ほれぼれするような“質の良さ”を感じました。こう言っては失礼ですが、1軍実績がほとんどないのに「なるほど、話題になるだけの資質は持っているんだな」と思いました。

ただ、イースタン・リーグで対戦した印象では、フリー打撃で感じる「怖さ」がありません。変化球を打つのが苦手な印象があり、チョコンと当てにいくようなスイング。印象に残るような打球は2本か3本ぐらいしかありませんでした。

フリー打撃と実戦での打撃のギャップを、どのように埋めていくかが秋広の勝負でしょう。変化球を打つのは苦手でも、甘い真っすぐだけは確実に長打する。ファーストストライクやバッティングカウントでは、変化球にヤマを張って強いスイングを心がける。追い込まれる前までは、狙い球以外を振りにいってもバットに当てにいかず、そのまま空振りできるような技術を身に付ける。他にもいろいろな技術はありますが、中途半端に当てにいくのではなく、自分の長所でもある長打力を生かせる技術を身に付けられればフリー打撃での迫力は、実戦でも武器になるはずです。

打撃面と守備面のバランスでいえば、巨人の外野陣は丸がレギュラーで、残りの外野2枠は競争になるでしょう。今までの巨人で、外野のレギュラーポジションが2枠も空いていたシーズンはないと言っていいでしょう。秋広にとっては「今年レギュラーにならなければ、今後のチャンスはない」と肝に銘じ、挑まなければいけないシーズンだと思います。(日刊スポーツ評論家)

巨人宮崎キャンプを視察する緒方氏(撮影・江口和貴)
巨人宮崎キャンプを視察する緒方氏(撮影・江口和貴)