来日3度目の先発となったバウアーだが、2イニングを投げて7失点。2度目の対戦になる広島打線にめった打ちにされた。初戦が7回1失点で初勝利を挙げたが、2度目の巨人戦では6回7失点。3度目の今試合が今後を占う上で重要になると思っていたが、結果は最悪。調整不足を露呈してしまった。

打たれた要因は、はっきりしている。前回の登板も同じだが、とにかく球が高い。真っすぐがきれいな回転のフォーシームで、1、2の3で真っすぐにタイミングを合わせている打者にとっては“打ち頃”の高さ。真っすぐだけでなく、ほとんどの球種が浮き気味だっただけに、これでは抑えようがない。

今後に向けて問題なのは「調子が上がってくるか?」だろう。個人的な見解で言うと、本人が日本野球をどのように考えているかに尽きると思う。

身長は185センチで、日本人投手の平均より少しだけ高いぐらい。上からの角度をつけて勝負するのではなく、伸びのあるフォーシームと変化球のコンビネーションで打者を打ち取るタイプ。しかし、この手のスタイルは日本人投手も多い。メジャーでは長身ピッチャーが多く「真っすぐは高め、変化球を低め」というスタイルが主流で、角度に慣れていない日本人打者は苦しむが、バウアーのようなタイプは「挑みやすい」のだと思う。

それならば、真っすぐを低めに投げる日本のスタイルを実践していかないと苦しい。ところどころで低めに投げようとする意識は見えただけに、今後はどれぐらい日本のスタイルを実践していけるかがカギになると思う。

マウンドではイライラして首を振る回数が多かった。前回の登板で足を絡めた攻撃でやられていただけに、捕手をベテランの伊藤光から強肩の山本に代えたのだろう。しかし、バウアーの投球スタイルの傾向を知るのなら、しばらくは固定した方がいい。打たれ出すと捕手の配球のせいにするため、首を振る投手はいる。バウアーがどうなのかは分からないが、これだけ首を振られていてはリズムが悪くなる。

それでリズムが狂った部分もあるのだろうが、DeNAはあまりにも単純なミス多すぎる。初回1死二塁、暴投で走者は三塁を狙ったが、サードの宮崎はタッチが甘く、アウトにできなかった。2回1死三塁のセカンドゴロをバックホームした牧の送球が逸れてセーフ。アウトにしていれば、無失点の可能性もあった。

攻撃では初回1死二塁から走者のソトがショートゴロで飛び出してアウト。バウアーがリズムが悪いから単純ミスをするのか、単純ミスでバウアーのイライラ度が増すのか分からない。しかしバウアーがどうかにかかわらず、優勝を目指すチームなら、このような単純ミスは減らしていかないといけない。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対広島 2回表広島1死一、二塁、さらに失点を重ねるバウアー(左から3人目)は大盛り上がりの広島スタンドを背にマウンドでナインやコーチと話す(撮影・垰建太)
DeNA対広島 2回表広島1死一、二塁、さらに失点を重ねるバウアー(左から3人目)は大盛り上がりの広島スタンドを背にマウンドでナインやコーチと話す(撮影・垰建太)
【イラスト】バウアーの今季登板成績
【イラスト】バウアーの今季登板成績
DeNA対広島 1回表の登板を終えベンチで山本と言葉を交わすDeNAバウアー(中央)(撮影・垰建太)
DeNA対広島 1回表の登板を終えベンチで山本と言葉を交わすDeNAバウアー(中央)(撮影・垰建太)
DeNA対広島 2回表の登板を終えたDeNAバウアー(左)に声をかける三浦監督(撮影・垰建太)
DeNA対広島 2回表の登板を終えたDeNAバウアー(左)に声をかける三浦監督(撮影・垰建太)
DeNA対広島 9回裏DeNA2死一塁、牧(手前)が一邪飛に倒れ肩を落とすバウアー(右から2人目)らナイン(撮影・垰建太)
DeNA対広島 9回裏DeNA2死一塁、牧(手前)が一邪飛に倒れ肩を落とすバウアー(右から2人目)らナイン(撮影・垰建太)