両先発の素晴らしいピッチングで、見応えのある投手戦となったが、チームにはそれぞれに流れがあることがよく分かる終盤の攻防だった。

ここ2試合、オリックスはポイントとなるイニングの先頭打者に四球を出し、敗戦が決まっている。18日ロッテ戦は3回(1失点)と7回(3失点)、17日ロッテ戦も5回(3失点)はどれも先頭打者への四球から後手に回っている。そうした展開は、当然ベンチもバッテリーも理解していたはずだ。

先発山岡は5回まで4安打8奪三振の無失点と試合をつくった。ここから本田、阿部、山崎颯と、勝利のリリーバーをつぎ込むも、やはり四球から崩れた。

8回、3番手阿部は先頭の上川畑に四球。続くアルカンタラのセーフティーバント。三塁宗の動きに、若干のゆとりが見えた。アルカンタラの俊足を見誤ったのか。宗が全力で行けばギリギリアウトにできたタイミング。この内野安打が痛かった。

1死二、三塁から新庄監督が動き代打ハンソン。チーム合流してまだヒットはなく、私は西武戦で結果を残した水野をそのまま打席に送ってもと感じた。ただ、この試合3三振で新庄監督もそれで判断したのだろう。ハンソンは2ー0から阿部の外角146キロをとらえて右前適時打とした。

反対に阿部-森のバッテリーからすれば痛恨の逆球だったのではないか。この日の加藤貴の出来からすれば、0-0で迎えた8回ならば、1点も大量失点も意味合いは変わらない。打者有利のカウントで、厳しく攻めて3ボール、そこからの四球で1死満塁がちらついたのだろう。

それでも、ゾーンへの甘いボールは絶対にダメという共通認識の元、勝負どころゆえの集中力でのピッチングが求められた。あと1歩、重要局面での厳しさが足りない。ここ2試合の敗戦への流れを断ち切る正念場だっただけに、逆球を打たれたのは残念だった。

日本ハムにとっては、1勝以上の価値ある白星となった。新戦力のハンソンが結果を出し、それも勝利に直結するタイムリーを打ったことで、すんなりチームに入っていける。まだまだ日本ハムは投打に苦戦する試合は散見されるが、新外国人選手の活躍は、大きな刺激になる。

それを想定して好調水野に代打を送った新庄監督の思惑が見事にはまった。加藤貴の好投に報いたベンチの采配であり、ハンソンの快打となった。(日刊スポーツ評論家)