最終戦を勝ちきれなかったとはいえ、交流戦を勝率5割で終えることができたことを前向きに捉えたい。神経質になるほど“鬼門”と言われた中で、9勝9敗。残した戦績だけでなく、試合内容もポジティブな要素が多くあった。

ひとつは打線に粘り強さ、つながりが見えたことにある。開幕からけん引してきた菊池、秋山に多少の疲れは見られたが、それをカバーする選手が出てきた。矢野や林、末包などの若手がチャンスをもらい、持ち味を示した。長いシーズン、特定の選手だけで勝っていくことはできない。出場機会を得た選手がアピールして、チーム内を活性化させながら打線を形成していかなければいけない。

ただ、セ・リーグ球団との対戦に戻れば、優勝争いは本格化していく。これまでのように“選手を試す”時期ではなくなる。交流戦でいいものを見せた一方で課題も露呈した若手にとっては真価が問われる。デビッドソンや2軍で調整中のマクブルームという外国人選手がどのように打線に加わってくるかも大きなポイント。チーム内で抜き出る選手の台頭が、シーズン終盤のチーム力を左右する。

投手陣は疲れが見える中でも、交流戦を通して安定していた。先発は再調整中のアンダーソンの復帰を待ちつつ、若手に登板機会を与えながら乗り切れるだろう。中継ぎも、栗林の復調によって層が厚くなった。ターリーを休ませるなど首脳陣のリスクマネジメントも行き届いている。十分戦える陣容と言える。交流戦の戦いをへて、チームとしてどのように成長していくのか期待して見ていきたい。(日刊スポーツ評論家)