5連敗中の楽天が、首位だった相手に連敗をストップさせた。ただし、この試合に勝てたのは先発した田中将の粘り強いピッチング。一方で攻撃を見ていると、最下位にいる理由がよく分かる内容だった。

なぜ楽天が最下位なのか? 盗塁数は12球団トップの46盗塁。本塁打もリーグ3位とはいえ51本塁打を放っている。しかし得点力は試合前まで200得点でリーグ5位。簡単に言うと、機動力を持ちながら有効な攻め方ができていない証拠だろう。象徴するような場面がいくつか目についた。

最初に目についたのは、1点をリードした5回表だった。先頭打者の村林が右前打で出塁し、打席は9番の安田だった。送りバントかと思っていたが、強攻策。もちろん、ベンチが「打て」という戦術なのだから、それを否定するつもりはないし、積極的に打ちにいくのは構わない。それでも、ただガムシャラに打ちにいくだけで、状況を考えた上での積極的なバッティングはできていなかった。

初球は外角のボール臭い真っすぐを豪快に空振り。そしてスライダーが3球続いてすべてボールだった。送りバントをしなかったとはいえ、走者は二塁へ進めたい場面。3-1になった時点でランナーを動かして仕掛けた。

ここから外角ギリギリの真っすぐを三塁側にファウル。フルカウントになって真ん中低め真っすぐを見逃して三振だった。和田はクイックが速くなく、一塁走者は俊足の村林。「能力勝負」で二塁はセーフになったが、ヒヤリとする場面だった。

フルカウントからのオートマチックなら、一番気をつけなければいけないのは、真っすぐを見逃して三振すること。盗塁アウトになる確率が上がるからだ。仮に低めの変化球を空振りしても、キャッチャーの二塁送球は遅れる。それなのに安田は低めの真っすぐを見逃し三振してしまった。

7回表1死満塁では、小深田のセンター前タイムリーが出たが、二塁走者の安田はホームでタッチアウト。内野は前進守備で、外野は思い切って前に出て守りづらい。小深田の当たりも痛烈な当たりではなかった。二塁走者は大きくリードを取れるし、これでアウトになるのだから、よほど足が遅いのだろう。状況的に三塁ストップでもよかったし、シングルヒットでホームを狙うなら、代走を送った方がよかった。

機動力を使った野球は、状況に応じて細かく切り替えられる高度な知識が必要。盗塁数が多くても得点力が低いのは、状況に応じた細かな配慮が足りないからだと思う。ソフトバンクの自滅と田中将の好投で勝つことはできた。「勝ったからいい」とするのではなく、反省するべき点はしっかり反省し、最下位脱出を目指してほしい。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対楽天 8回、交代を告げる楽天石井監督(撮影・菅敏)
ソフトバンク対楽天 8回、交代を告げる楽天石井監督(撮影・菅敏)
今季4勝目を挙げ、石井監督(右)にタッチで迎えられる楽天田中将(撮影・菅敏)
今季4勝目を挙げ、石井監督(右)にタッチで迎えられる楽天田中将(撮影・菅敏)