阪神とオリックスの日本シリーズが、28日に京セラドーム大阪で開幕する。ともにペナントレースをダントツで優勝し、CSも危なげなく勝ち上がった“王者対決”。日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(52)が、今シリーズの見どころ、ポイントを挙げた。

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59年ぶりの関西シリーズは、似たチーム同士の対戦になった印象だ。どちらも投手力を前面に出し、少ないチャンスで1点でも多く取ってリードを守り抜く。そこで、しのぎ切った方が勝つ。

接戦が予想されるだけに、1つのミスが命取りとなりそうだ。バッテリーは四球。守備はエラーはもちろん、1つ先の塁に行かれること。攻撃はバントやエンドランの失敗。それらを、どれだけ防げるか。1球の持つ意味が一層、高まることは間違いない。

捕手の重要性も増す。オリックスは、森がCSの経験はあっても、日本シリーズは初めて。その点、シリーズ経験者の若月の存在は心強い。一方の阪神は、ほぼ全員が初めての日本シリーズ。とはいえ、坂本はCSファイナルステージでは自分の色を出し、レギュラーシーズンと変わらないプレーができていた。日本シリーズにも同じ精神状態で臨めれば、心配はない。

打線も、ともにレギュラーシーズンとスタイルは変えないとみる。オリックスは日替わりだろう。ラッキーボーイ的な選手が出てくれば中心に固定することも考えられるが、基本的には相手投手や選手の状態を見ての判断になる。対照的に、阪神はシーズン同様、ほぼ固定するだろう。

ともに不安点も抱える。オリックスは杉本、紅林のコンディション。最大7試合しかなく、主力が1人でも抜けるのは痛い。頓宮は戻ってきたが、万全とまで言えるかどうか。みんなが出られることを願うばかりだ。阪神は4番大山の打撃の状態が、CSファイナルステージでは良くなかった。第2戦で二塁打を打ったが、1本出たことで精神的には多少、楽になったはず。復調へとつなげたい。

最初に書いたとおり、似た同士の対戦で、正直、勝敗予想は難しい。少なくとも、4勝0敗、4勝1敗のような一方的な展開にはならないとみる。その上で「4勝3敗で阪神」と予想する。1勝差は野手の安定感。固定メンバーの強みが発揮されるのではないか。ビジター球場が京セラドーム大阪というのも追い風となる。今季8戦8勝と相性がいい。関西シリーズだけに阪神ファンも相当数、詰めかけるだろう。第1戦からホーム球場のような雰囲気で戦えるのではないか。

いずれにせよ、玄人が好みそうな、見応えたっぷりのシリーズを期待したい。(日刊スポーツ評論家)