大谷の「修正力」を見ることができた。8回の第5打席で、初球の内角球を逆方向へ運ぶ適時打。それまでの打席は右肩の開きが少し早かったが、最後の打席は、ちゃんと右肩が残っていた。

開きの早さは開幕戦だけにしょうがないと思いながら、見ていた。キャンプ序盤は逆方向へのバッティングが中心。そこから、ほぼ振れる状態になってこの日を迎えた。それで初回から引っ張りにいったのだろうが、まだタイミングにずれがあった。ダルビッシュとの最初の対戦は、初球の内角真っすぐが効いた。最後は外の沈むボールに遊ゴロを打たされた。3回の第2打席は右前打でやり返したが、その後は代わった投手に内野ゴロ2つ。そうして迎えた最終打席。得点圏に走者がおり、それまでと状況が違ったとはいえ、試合の中で修正できるのはさすがだった。

ダルビッシュの投球からは、何としても強力ドジャース打線を抑えるという意気込みが伝わってきた。今月上旬、渡米してパドレスのキャンプを取材した。ダルビッシュとも話したが、開幕カードに向けて相当、研究していた。各打者のデータに応じて自分の球筋や球種、球速に変化を試みていた。相手の長所を避け、弱点を突こうという意思は、投球内容に表れていた。

大谷に対しては、内角球を効かせて抑えた第1打席からの流れで、3回も内角中心に攻めたのだろう。ただ、内を突きすぎた分、最後は外への逆球を右に運ばれた。

大谷の後を打つフリーマンに対しては、初回は見逃し三振。内からゾーンに入れるフロントドアだった。3回は一転、外の変化球中心に攻めたが、四球を与えてしまった。相手に向かっていく意思はあっても、それがうまく表現できなかった。開幕戦独特の緊張感もあったのだろう。ただ、ピンチを招いても最後はマンシーを空振り三振。ガッツポーズを見せ、チームを引っ張っていく気迫が伝わってきた。

メジャーデビューを果たした松井も合わせ、3人の日本人選手を見られた。面白い開幕戦だった。欲を言えば、ダルビッシュと大谷の対戦をもう1打席、見たかったが、今季中に何度か見られるはず。楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)

パドレス対ドジャース 8回表ドジャース1死一、二塁、左前適時打を放つ大谷(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 8回表ドジャース1死一、二塁、左前適時打を放つ大谷(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 8回表ドジャース1死一、二塁、左前適時打を放った大谷(手前右)はチームメートに向かってポーズを決める(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 8回表ドジャース1死一、二塁、左前適時打を放った大谷(手前右)はチームメートに向かってポーズを決める(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 3回表ドジャース2死、大谷は右前打を放つ。投手ダルビッシュ(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 3回表ドジャース2死、大谷は右前打を放つ。投手ダルビッシュ(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 3回表ドジャース2死、ダルビッシュは大谷に右前打を許す(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 3回表ドジャース2死、ダルビッシュは大谷に右前打を許す(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 3回表ドジャース2死一塁、二塁盗塁を決める大谷(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 3回表ドジャース2死一塁、二塁盗塁を決める大谷(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 力投するパドレス先発のダルビッシュ(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 力投するパドレス先発のダルビッシュ(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 1回表ドジャース無死一塁、ダルビッシュは大谷を遊ゴロに仕留める(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 1回表ドジャース無死一塁、ダルビッシュは大谷を遊ゴロに仕留める(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 4回途中、降板するダルビッシュ(右)(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 4回途中、降板するダルビッシュ(右)(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 6回途中、パドレス4番手で登板し無失点の松井(左)はダルビッシュらチームメートに迎えられる(撮影・菅敏)
パドレス対ドジャース 6回途中、パドレス4番手で登板し無失点の松井(左)はダルビッシュらチームメートに迎えられる(撮影・菅敏)