キャンプからオープン戦と、まずまずの仕上がりを見せてきたと思っていた巨人だが、調整期間の最後の試合で不安が出てしまった。

昨年はリリーフ陣が崩壊し、オフには中継ぎ投手の補強を進めていた。しかし、阪神から現役ドラフトで獲得した馬場、ドラフト1位ルーキーの西舘、阪神から獲得したケラーの新戦力が、それぞれ四球から自滅してしまった。

4点をリードした6回、馬場が3四球し、西舘も押し出し四球を与えるなど4失点。同点から登板したケラーも3四球を与えて2点を勝ち越されてしまった。西舘はルーキーであり、緊急登板になったのだろう。不慣れな面が出たのだろうが、馬場とケラーの3四球は解説する必要もない。特に勝ちゲームでの起用を期待されているケラーの乱調は不安だった。

オープン戦だけに勝ちを優先させた投手起用をする必要はない。本番であれば、この展開で馬場は投げなかっただろうし、左打者の岡島のところでリリーフしたのは西舘ではなく、左のワンポイントだったと思う。

ケガで出遅れていた大勢は、いい時の状態には戻っている。しかし、勢いのあったルーキー時代とは違う。相手ベンチや相手打者も大勢の特徴や球筋は分かっている。特に左打者は要注意。左打者の内角を突ける制球力と、もっと変化球の精度を上げていないと苦しくなる。9回の1イニングをそのまま任せる抑えに固定するより、相手打線との兼ね合いで、左の中川とコンビで起用した方がいいだろう。左のリリーフの継投が、中継ぎ陣の立て直しのカギを握ると思う。

リリーフを補強したといっても、勝ちパターンの試合で1年間、バリバリに投げていたリリーフ投手ではない。過度な期待は避けなければいけない。それでも調子さえ良ければ、1軍で投げられる投手の駒は増えている。コンディションを考えながら、無理をさせない起用もできる。調子を落としている投手は、試合で投げさせずに、じっくりとブルペンでフォーム矯正させられる。2軍の投手陣との兼ね合いで入れ替えるなど、投手コーチのやりくりで、十分にリリーフ陣を立て直せるだけの戦力はあると思う。

昨年と違って戦力バランスはいいし、阿部監督は新監督とは思えないような落ち着いた雰囲気がある。開幕を楽しみに待っている。(日刊スポーツ評論家)

巨人対楽天 6回表楽天1死満塁、島内に四球を与え、押し出しを許す馬場(撮影・河田真司)
巨人対楽天 6回表楽天1死満塁、島内に四球を与え、押し出しを許す馬場(撮影・河田真司)