5回を終えた時点で、互いに点が入る気配はなかった。阪神高橋は抜群で、低めに集めゴロの山。巨人グリフィンも気合十分。1回、3回と、いずれも2死で三塁に走者を抱えて佐藤輝を迎えると、真っすぐと変化球を外に出し入れした。打者からすれば、どこかで内にくるという思いがあったはず。だが、両打席とも、いくぞ、いくぞと見せかけていかず、外のスライダーで空振り三振。巨人バッテリーが見事に攻めた。

先に動いたのは巨人だ。6回表でグリフィンに代打を送った。中4日とはいえ、まだ76球。吉と出るか、凶と出るかとみていたら、2番手ケラーが6回裏先頭で大山に二塁打。続く佐藤輝は1ボールからの2球目、高め要求の真っすぐが真ん中付近にきたが、捉え損ねて中飛。この1アウトが大きかった。走者を三塁に進められず、後続も倒れた。

佐藤輝が「1球」を捉え、せめて走者を進めていれば、違う展開になってもおかしくなかった。阪神は直後の7回表の守り、今度は「1球」を捉えられた。高橋は無死一塁で岡本和を2球で追い込んだが、3球目を左前に運ばれた。一、三塁とされ、代打坂本に決勝打を許した。

岡本和への攻めを振り返りたい。初球ファウル。2球目は内角真っすぐで見逃し。すると、梅野は3球目も内に真っすぐを要求した。ボール要求ではなく、決めにいったように見えた。だが、真ん中寄りに入り打たれた。内角真っすぐを続けた意図を理解はできる。岡本和は2回、4回と外のツーシームを引っかけ内野ゴロ。当然、外に意識があっただろう。その2打席を踏まえ、阪神バッテリーは一転、内を続けた。ただ、2球目が、いいところに決まりすぎた。さらにいいところに決めようとなると、ぶつける心配も出てくる。

また、高橋は既に70球を超えていた。復帰してから今季は91球が最多。球の力が、やや落ちていたのかもしれない。3球勝負よりも、時間をかけて攻めた方がいい場面だった。

ワンチャンスを仕留めた坂本をたたえたい。前日の悔しさを晴らした。2日続けてスコアは1-0。連敗しなかった巨人がかなり有利になった。1球、1打席、1点と「1」の重みを、あらためて感じた。優勝争い大詰めにふさわしい、深みのある面白い試合だった。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 7回表巨人無死一塁、岡本和は左前打を放つ(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回表巨人無死一塁、岡本和は左前打を放つ(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回表巨人無死一、三塁、代打坂本は右前適時打を放つ。投手高橋(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回表巨人無死一、三塁、代打坂本は右前適時打を放つ。投手高橋(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回表巨人無死一、二塁、交代を告げられうつむく高橋(左から3人目)(撮影・藤尾明華)
阪神対巨人 7回表巨人無死一、二塁、交代を告げられうつむく高橋(左から3人目)(撮影・藤尾明華)