首位独走中の阪神に死角はあるのか。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(44)が26日の後半戦開幕を前に、古巣タイガースの今後を占った。チームは前半戦で2位以下に9・5ゲーム差をつけ、投打に隙が見当たらない状態。レジェンドOBが唯一、不安要素として挙げたポイントは-。【聞き手=佐井陽介】

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正直なところ、今の阪神は死角を見つけづらいチームです。投手陣は先発、リリーフともに12球団屈指の陣容をそろえ、打線も1番から5番まで盤石な主軸を固定できているチームは他にありません。それでもあえて心配ポイントを挙げるとすれば、中継ぎ陣が最後までフル稼働を続けられるか、ぐらいでしょうか。

藤川監督は現役時代にクローザー、セットアッパーとして球界屈指の実績を残しています。誰よりもブルペン陣の充実を重視してきたでしょうし、実際にブルペン陣で勝ちにいった試合も多いように感じます。先発投手を一般的なタイミングよりも1、2イニング早く交代させる展開も1度や2度ではなかったはずです。現在のブルペン陣に相当に厚い信頼を寄せているのだと想像します。

結果、日刊スポーツの調べによると、リリーフ陣は前半戦の90試合で計281回2/3を投げています。これは前半戦の試合数が同じだった昨季の計258回2/3から23回も増えています。さらに2回以上のイニングまたぎをした投手は昨季の17人と比べて今季は23人。前半戦はリリーフ陣がフル稼働したと表現できます。

もちろん、リリーフ出身の藤川監督が体調管理を軽視しているはずがありません。今季はリリーフ陣の1、2軍入れ替えが頻繁に行われています。少しでも疲労が見え始めれば出場選手登録を抹消し、2軍再調整の期間を与えてリフレッシュさせています。1軍にいながら疲労回復のために登板回避させるケースも見られました。前半戦に救援登板した人数は283。これは昨季の261人よりも22人多く、実はしっかり疲労を分散できているとも考えられます。

ただ、私はどうしても心配性なので、リリーフ陣に今後ひずみが生じないか、そこだけが少し気がかりです。なぜなら今季の阪神は鉄壁リリーフ陣が土台といえるからです。思い返せば、チームは6月、石井投手が頭部にライナーを受けて戦線離脱を余儀なくされた期間に7連敗しています。特に主要メンバーが抜けると影響が大きいだけに、首脳陣は有事が起こらないよう、より繊細にブルペン陣をマネジメントしていくのではないでしょうか。

球団は7月にハートウィグ投手、ドリス投手の右腕リリーバー2人を獲得しました。チーム全体として危機管理に余念がありません。さらにブルペン陣の層を厚くした状況で、チームは後半戦どのような戦い方をするのでしょうか。リリーバーを惜しげもなくつぎ込むスタイルを貫くのか、満を持して先発投手のイニングを長くしていくのか。その辺りの選択にも、個人的には注目しています。

残り53試合で2位以下に9・5ゲーム差以上をつけている状態。ただ、選手目線でいえば、追われる立場はプレッシャーもかかって決して楽ではありません。私自身は08年に13ゲーム差を巨人にひっくり返された苦い経験がありますが、あの時は5ゲーム差まで縮まってきた頃にはもう「うわ~来た」と焦りにも似た感覚が生まれていました。

今年は7連敗を経験しているだけに、選手は「また7連敗してしまったら…」とも考えてしまうものです。ライバル球団を見れば、たとえば巨人は不振で2軍調整中だった戸郷投手が間もなく1軍に戻ってきますし、負傷離脱中の岡本和選手もいずれ帰ってきます。追う側の戦力が整った時に「さすがにもう無理か」と諦めさせるぐらい、今のうちにゲーム差を離せるだけ離しておきたいところです。(日刊スポーツ評論家)

阪神藤川球児監督(2025年7月12日撮影)
阪神藤川球児監督(2025年7月12日撮影)