阪神が連勝で5カード連続の勝ち越しを決め、優勝マジックを29に減らした。4番佐藤輝明内野手(26)の先制適時二塁打、31号ソロなどで5得点。先発の才木浩人投手(26)は9回2失点の完投勝ちで2年連続の2ケタ勝利を達成した。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(41)は3点リードで迎えた8回裏の攻撃に注目。各選手が自己犠牲をいとわない打線からも首位独走チームの強さを感じ取った。【聞き手=佐井陽介】
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阪神は最後まで隙を見せませんでした。3点リードで完勝ムードが漂っていた8回裏。先頭の4番佐藤輝選手が右翼線に二塁打を放つと、5番大山選手は2ボール2ストライクと追い込まれたあと、直球を押っつけて一ゴロを転がしました。このシーンにあらためて首位を独走するチームの強さを感じました。
大山選手は6回に左翼線適時二塁打を放つなど、それまでの4打席で3安打をマークしていました。8回無死二塁の場面でも勢いのまま自分で決めようと強引になってもおかしくない状況ではありました。それでも追い込まれたら丁寧に進塁打。内野が前進守備を敷く1死三塁の好機をつくり、6番高寺選手の中前適時打につなげました。
今季の阪神打線はセ・リーグの他球団と比べて、明らかに状況判断に優れています。決めにいった方がいい場面では決めにいく。つながれた方が相手が嫌がる場面では最低でも進塁打を成功させる。誰1人として「オレがオレが」と自己中心的にならないところに現チームの強さがあります。
もちろん、8回裏の大山選手は自分で打って二塁走者をかえしたかったはずです。一方で次打者の6番高寺選手の好調ぶりも把握していたのかもしれません。高寺選手はファーストスイングでのコンタクト率が高く、3回の中前打、8回の中前適時打はともにファーストストライクを仕留めたもの。次打者の状態も考えた上で“つなぎ”に徹したのであれば、さすがとしか言いようがありません。
大山選手はタイガースの精神的支柱の1人。そんなプレーヤーが常にチームプレーを最優先できるから、打線全体にフォア・ザ・チームの精神が浸透しているのでしょう。1試合1試合、隙を見せない阪神。このまま最後まで安定した戦いを続けていくと予想します。(日刊スポーツ評論家)




