チャームポイントの笑顔が突然、奪われた。日本ハムのレアードが、米ラスベガスで起きた銃乱射事件でいとこを亡くした。

 クリスティーナ・ドゥアルテさんは享年22歳。約2万人が詰めかけた音楽コンサートの会場で、被害者の1人になってしまった。日本時間2日にニュースで事件を知ったレアードは、ドゥアルテさんと連絡が取れず混乱気味だったという。同3日の深夜、通訳に「死んでしまった…」とむせび泣きながら電話をかけていた。

 本塁打後にすしを握る「すしポーズ」が恒例となり、2年連続の本塁打王を争った今季。球場には両親をはじめ親戚が観戦しに来ることが多かった。シーズンオフには親族に、自ら握ったすしを振る舞うなど交流は深い。その中にはドゥアルテさんもいた。訃報が届いた3日、緊急帰国が決定。すぐさま航空機に乗り込むかと思いきや、愛犬のフレンチブルドッグ・リヴィを連れて札幌から電車で約3時間半、新函館北斗駅に向かっていた。

 フレンチブルドッグは鼻がつぶれているため気圧の変化に弱く、貨物と同様に預けると呼吸困難で最悪、死に至ることもあるという。昨オフから始めた帰国手段で、新函館北斗駅から新幹線で約4時間半。そして羽田空港から米サンフランシスコ行きへと乗り継いでいった。周囲からは日本に置いていくことも提案されたが、家族であるペットの負担も考えながら、連れて帰ることが最善策だと決めていた。レアードの深く、強い家族愛を思うと、胸が痛む。【日本ハム担当 田中彩友美】