ピンチを乗り切ると、相手をKOするような強烈な右アッパーで喜びを表現する。阪神マルコス・マテオ投手(34)は「勝利の方程式」の一員として、主に8回を任される救援陣の支柱的な存在だ。来日3年目の今季は、150キロを超える自慢の直球でピンチをしのぐと、マウンドを駆け降りて渾身(こんしん)のガッツポーズを見せるシーンが印象的だ。

 マウンドで見せる、燃えるような表情は興奮状態に達しているから。熱く見える男は、日頃おとなしいようだ。ブルペンを担当する金村投手コーチは「ブルペンでは淡々と肩を作っている。本気で投げているというよりは、キャッチボールの延長でウオーミングアップみたい。試合中に椅子に座っているときはおしゃべりなんです」と証言。さらに「肩を作るのも速い。マウンドにはクールに向かっていく」と普段の助っ人を説明した。

 マテオが「ブルペンではできるだけ力まずに、楽にしている。ゲームに向かうときもあまり力はいれない。自然にゲームモードに入れるようにしている」と話すように、試合スイッチが入ったときに、熱いガッツポーズが飛び出るのだ。金村コーチは「チームを鼓舞する意味でもすごくいい。ピンチを乗り切ることはすごく体力のいること。気迫が伝わってくるし、執念がある」と褒めたたえた。

 現在はパートナーの出産に立ち会うため、ドミニカ共和国に一時帰国中。虎の勝利には、マウンドで変身を遂げたマテオの熱い気持ちが欠かせない。【阪神担当=真柴健】