「合同トライアウト」は見せ物なのか? 今年も11月13日に「12球団合同トライアウト」が行われる。各球団が持ち回りで、今年はソフトバンクが担当。福岡・筑後市のファーム本拠地・タマホームスタジアム筑後が舞台となる。

今季限りで各球団を戦力外になった選手や過去に退団した選手などが集まり、合同でテストを行う。選手たちが生き残りをかけた真剣勝負の場。ファンの関心も高く、昨年はマツダスタジアムに5000人ほど集まったという。

タマホームスタジアム筑後は3000席ほどしかなく、「混雑緩和」を理由として1500席を有料にした。入場料は1枚800円。各球団の有料ファンクラブ会員は300円。合同トライアウトを有料にするのは今回が初めてとなる。

関係者や受験者の家族などのためには無料の席も準備。筑後の球団担当者は「最後まで受験者には、お金を払っているお客様の前でプレーする、プロとしての自覚を持ってもらえれば」と話した。有料入場者には情報満載の「受験者メンバー表」を配布。球場の演出などもして盛り上げる。

選手会主催の「合同トライアウト」だが、球場スタッフ、警備、ボールなどの用具代、弁当代などの経費は担当球団の負担となる。今回、有料にしたのは、その回収を見込んだ側面もある。昨年は投手26人、野手25人が参加した。合格者は元西武でヤクルト入りした田代、元DeNAで阪神入りした山崎くらい。元ソフトバンク大隣は再度テストを受けロッテに入った。合同トライアウトでの合格率は厳しい。形骸化しているとも言える。ファンにとっての合同引退試合になっているとも言えなくない。

戦力外選手の機会均等を目的に始まった「合同トライアウト」。今回の有料化をきっかけに、選手会もNPBも議論を重ねて、よりよい形に進化させてほしい。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】