日本のプロ野球界に「やり投げトレーニング」の文化が広がりつつある。17年オフから導入しているオリックス山本由伸投手(21)を筆頭に、今年1月にはソフトバンク大竹耕太郎投手(24)も取り入れた。広島にも春季キャンプからやり投げに取り組む選手がいる。九里亜蓮投手(28)だ。

きっかけはオリックス山本。昨季先発に転向し、最優秀防御率のタイトルを獲得した右腕のやり投げの動画を参考に、見よう見まねで行っているという。「体の使い方が僕自身うまくないと思ってたんですけど、由伸くんと投げるリリースの形が近いなと思って、取り入れてみようと思いました」と明かした。

私自身もオリックス担当時代にやりを投げさせてもらった経験があるが、何回やっても1度もうまく投げられなかった。九里はきれいな弧を描き、遠くまで飛ばしていた。「ただ力を入れて投げるだけではぐちゃぐちゃになって飛ばないですけど、下半身から力を連動させて投げればきれいに飛んでいく。体の使い方を覚えるためにもいいのかなと思ってやっています」。

やり投げについて山本は「やり投げはやりを遠くに飛ばす種目。野球も速い球を投げる競技。違うとよく言われるけど、自分は一緒だと思う」と話していた。九里も「ボールを投げるのもやり投げも体を使って投げる面では似ていると思う」と意見が重なる。まだ試行錯誤中で「胸を張って投げるイメージはつきつつあるかなという感じです」と手応えを口にした。

九里は山本とまだ面識がないといい「年下ではありますけど、由伸くんと話す機会があれば、聞いて教えてもらって、学びたいです」と貪欲な姿勢をみせる。昨季8勝を挙げた右腕。今季はやり投げ効果でさらなる飛躍につなげられるか、広島の背番号12に注目だ。【広島担当 古財稜明】