阪神は異例となるシーズン“2度目”の長期ロードが、浮沈のカギを握る。

コロナ禍の中、約3カ月遅れで開幕を迎えたプロ野球。試合数が120試合になるなど前代未聞のシーズンで、日程もまた超変則的となった。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、チームの移動を極力避ける配慮がなされた。阪神は開幕カードの東京ドーム(巨人戦)から神宮、横浜スタジアム、ナゴヤドーム、マツダスタジアムと5カード連続ビジターゲームを転戦。そこで4勝10敗(雨天中止1試合)と大きく出遅れ、スタートダッシュに失敗した。

しかし、7月9日に本拠地甲子園へ戻ると、水を得た魚のごとく息を吹き返した。今度は他5チームを順に招いて、甲子園での5カード連続ホームゲーム。9勝3敗1分け(雨天中止2試合)と大きく勝ち越し、最下位からのV字反撃を見せた。

要因の1つは練習環境にある。選手やコーチも口にするように、ビジターでは練習の時間や場所が制限される。新型コロナ対策で遠征先の外出も基本的に禁止。気分転換やリフレッシュの方法も限られ、通常のシーズンよりストレスコントロールも難しくなる。一方、ホームでは練習環境の融通も利きやすい。自宅で過ごす家族との時間など、精神面でもプラスに働く。

迎える勝負の8月は、例年通りとなる「死のロード」が組まれている。全国高校野球選手権大会は中止となったが、「2020年甲子園高校野球交流試合」などで高校球児に聖地を明け渡す。近年はその名称ほど苦しんではいないが、8月6日巨人戦を最後に5カード連続で甲子園を離れる。3カード目に京セラドーム大阪でのホーム3連戦を挟むが、その他はビジター連戦が続く。

首位を独走する巨人はビジターで11勝4敗1分け、勝率7割3分3厘と圧倒的な数字を残している。阪神にとっては、異例となるシーズン2度目の長期ロード。甲子園に帰る8月25日まで、どういう成績で推移していくのか。ここがチームの大きなヤマ場となる。【阪神担当=奥田隼人】