<楽天8-2西武>◇11日◇楽天生命パーク

夢は正夢になった。楽天ドラフト6位の滝中瞭太投手(25)がプロ4試合目の登板で初勝利を挙げた。

5回1死までパーフェクト投球。9回に適時打を許し完封こそ逃したが、山賊打線を8回2/3、5安打2失点に抑え、前回9月27日の対戦で3回途中5失点でKOされた雪辱も果たした。

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「努力した以上のことは望まない」。今年で3年目を迎えた滝中の「3年日記」に記されている言葉だ。ホンダ鈴鹿3年目のある日。社内のテレビで流れていた、ホンダがサポートする車いすマラソン選手の紹介映像で「努力-」という言葉を目にした。「やってきた以上のことをやろうと背伸びしても、できない。空回りすると思う」。自分のやってきたことを疑わず、信じられることをやる。プロ入りを目指す右腕の胸に刺さり、自室ですぐに書き留めた。

夢へ近づくために、理想像を変えた。龍谷大時代は最速150キロの本格派右腕として腕を振ったが、剛腕ぞろいの社会人へ進み“技巧派”へスタイルチェンジ。元広島の黒田博樹氏を参考に、直球と同じ軌道から変化する球を重視するようになった。元西武の潮崎哲也氏のシンカーを目標に、130キロ台前半で右打者に向かって曲がりながら落ちる「パワーシンカー」も覚えた。「四球じゃ何も起きない。打たれたら、それが実力です」。打たれないように、抑えられるように汗をかく。今の右腕の努力への道筋は、明確だ。【桑原幹久】

9回表西武1死一、三塁、川越を空振り三振に仕留めガッツポーズする滝中(撮影・足立雅史)
9回表西武1死一、三塁、川越を空振り三振に仕留めガッツポーズする滝中(撮影・足立雅史)