阪神の秋季練習初日だった15日、ヘッドに昇格した井上コーチが円陣で5分以上も選手に話しかけていた。その内容について、井上コーチは「みんなで1つのチームになって頑張ろうぜっていう時にスカすなと。スカしてる人間がいたらそれが害になる。みんなでテンション上げるんだったら、みんなで上げていく。それがエラーの削減にもつながると思う」と語った。

阪神は巨人に8勝16敗。阪神の今季失策数は85。対してリーグ優勝した巨人は43。何がこの差を生んだのか。井上ヘッドは先の発言の狙いも語っている。「練習量に関して言えばジャイアンツに負けてない。何が違うかといったら緊張感。常日頃からそういう訓練が足りない。そういう意識をつけるのが俺の役目」。

練習から緊張感に包まれることで1球への集中力は変わってくるはず。妥協しない環境づくりや緊張感の中でパフォーマンスを発揮できる鍛錬。それこそが求めているものだといえる。変革に挑む気持ちが言葉に表れていた。

この秋、矢野監督から「挑戦」というフレーズをよく聞く。11日のシーズン最終戦後のスピーチで「コロナ禍でみなさんが苦しまれている中、僕たちの挑戦する姿から、私達も頑張ろう、俺たちも1歩前に出てみよう、私たちも踏み出してみようと思ってもらえる、そういうチームにしていきます」。さらに翌12日のシーズン終了報告を終えた後の会見でも、3年目を迎えるにあたっての心境についてこう語っていた。「挑戦ということに対しても、これは僕自身、自分にも言い聞かせていること。僕がその挑戦する姿を見せていくことで、選手もついてきてくれると思いますし、僕の中でも大きなテーマかなと思っています。僕自身、1歩も2歩も前に出る、そういうことが大事。挑戦して戦うシーズンになるのかなと思います」。

この秋、そして春に、虎はどう変わっていくのか。しっかりと見つめていきたい。【阪神担当=松井周治】