阪神からオリックスへ移籍した兼任投手コーチの能見篤史は、開幕を41歳9カ月で迎える大ベテランだ。新天地では阪神に続き、球団最年長記録のラッシュが予想される。

まず期待したいのは、史上初の「複数球団での最年長セーブ」。阪神での最後の登板となった20年11月11日DeNA戦で最終回を3人で締め、花道をセーブで飾った。この試合時点で41歳5カ月。同年7月9日巨人戦で現役最後のセーブを挙げた藤川球児39歳11カ月を抜き去り、球団単独での最年長となった。オリックスの最年長セーブは、吉田修司が07年に記録した40歳7カ月。能見はすでにこの年齢を超えており、今季セーブを挙げればこれを更新する。

能見はホールド、ホールドポイントでも阪神の最年長記録を持つ。20年11月7日広島戦で、セーブと同じく41歳5カ月で記録。オリックスでは2項目とも吉田が40歳7カ月で記録しており、能見は上回ることができる。ただし吉田はこの両部門でソフトバンクの最年長記録39歳9カ月(06年)も保持しており、能見が吉田の年齢を超えても「初の」2球団最年長とはならないのが残念だ。

他球団に目を移すと、工藤公康が2球団での最年長登板記録を持っている。DeNA46歳5カ月、そして西武の47歳3カ月だ。そしてオリックスには、能見が少々頑張っても追いつくことが困難な数字もある。前身球団阪急の浜崎真二は、チームどころかパ・リーグ最年長となる48歳10カ月での登板記録を保持している。能見がマウンドに上がるだけで、こういった往年の大記録にも日が当たる。あのポーカーフェースで、パ・リーグの強打者たちに立ち向かってほしい。【記録室=高野勲】