<ソフトバンク8-2ロッテ>◇26日◇ペイペイドーム

ソフトバンクが開幕戦に完勝した。4本塁打のアーチ攻勢に、開幕初先発となった石川が快投。チームは5年連続で「開幕星」をつかんだ。4年連続で日本一に輝いているホークスにとって、今季も初戦白星を手にしたことは「吉兆」であろう。試合後、王球団会長も「(ホームランが)出たね。開幕は特別だからね。打つ方がどうかなと思っていたけど」と、観戦に訪れた孫オーナーを見送りつつ快勝に笑顔だった。

ソフトバンク対ロッテ 開幕戦で制しタッチを交わす今宮(中央)、柳田(同右)らソフトバンクナイン(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対ロッテ 開幕戦で制しタッチを交わす今宮(中央)、柳田(同右)らソフトバンクナイン(撮影・岩下翔太)

不安視された打線がいきなり活気づき、先発石川も大役を果たした。チーム好発進の中、注目したのは8回にひょうひょうとした表情でマウンドに上がったサウスポー嘉弥真の投球だった。前打席で本塁打を放っている先頭マーティンを2球で追い込むと、3球目は130キロの自慢のスライダーで空振り三振。続く4番安田もフルカウントから142キロの直球で一ゴロに仕留める好救援。5点差があったとはいえ、この2死で完全に勝利を確信できた。

嘉弥真にとってプロ10年目の今春は悲しみのスタートだった。2週間前の12日に父の末広さんが逝去した。最終調整の大事な時期だが、16日に実家のある沖縄・石垣島で行われた葬儀・告別式に駆けつけた。悲しみに暮れる間もなく20、21日のオープン戦対広島の連投テストを終え開幕に臨んでいた。十分な調整ができたかどうか分からない。だが、小柄な左腕はしっかり仕事をこなした。

ソフトバンク対ロッテ 8回表より登板したソフトバンク2番手の嘉弥真(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対ロッテ 8回表より登板したソフトバンク2番手の嘉弥真(撮影・岩下翔太)

10年前の入団発表後の球団主催の歓迎パーティー。プロ入りした息子の晴れ姿に、末広さんは王会長らを前にしてうれし泣きした。息子の活躍を信じながらも、厳しい世界で生き抜く難しさも感じていたはずだ。息子はチームに欠かせない貴重なセットアップ左腕となった。日本一4連覇のこの4年間はすべて50試合以上に登板、防御率2点台の数字を残してる。V5を目指す今季も、「勝利の方程式」を形成する重要なピースとして、この男の存在は大きいと感じた。【ソフトバンク担当 佐竹英治】