広島菊池涼介内野手(31)が、16日の中日戦(バンテリンドーム)で史上299人目の100号本塁打を達成した。球団公表体重は68キロ。体重60キロ台での通算100号はきっと珍しいだろうと、4月上旬から自力で調べていたところ、菊池涼選手から「体重? 71・5ありますよ」と言われ、200人分くらい調べた手を止めた。個人調べレベルでいうと、60キロ台の大台は初ではない。ただ、200人ほど調べても、青田昇氏(巨人など)など数えるほどしかいなかった。体重71・5キロも、身長171センチも、プロ野球界では小柄に位置付けられる。それだけに菊池涼の100号は、多くの野球少年、少女に希望を与えたのではないだろうか。

連盟表彰ではない記録も、大きな意味がある。5年前のやりとりが思い出される。打撃についての目標を口にしない菊池涼に、2000安打について聞いてみると、意外な答えが返ってきた。「2000安打よりも、100本塁打を打ちたいですね。だって、じいちゃんになったとき、孫に自慢できるじゃないですか。“じいちゃん、プロで100本ホームラン打ったんだよ”って」。すでに守備では名手と呼ばれ、2番打者としてつなぎ役を担っていた職人が、本塁打への憧れをのぞかせた瞬間のように感じた。

達成したときも「100号というのは、小兵にはうれしいものです。ヒットの延長がホームランと思ってやってきたので」と珍しく喜びを素直に語っていたのが印象的だった。ただ、今季は18試合で5本塁打とハイペースで本塁打を積み重ねている。年齢はまだ31歳。100と言わず、ぜひとも連盟表彰となる150号を、将来の孫に自慢してもらいたい。「いや、無理でしょう。100号で連盟表彰にしてください」。次の節目には、このやりとりを思い出すのかもしれない。【広島担当=前原淳】

中日対広島 1回表広島無死、左越え本塁打を放った菊池(2021年4月16日撮影)
中日対広島 1回表広島無死、左越え本塁打を放った菊池(2021年4月16日撮影)
中日対広島 1回表広島無死、左越え本塁打を放った菊池(撮影・森本幸一)
中日対広島 1回表広島無死、左越え本塁打を放った菊池(撮影・森本幸一)