<阪神3ー1ヤクルト>◇19日◇甲子園

阪神にまた1人、新星が輝きを放った。西純矢投手(19)が5回無安打無失点の快投でデビュー戦勝利を飾った。威力ある真っすぐでヤクルト打線を圧倒。阪神のドラフト最上位入団の投手がプロ初先発で白星を挙げたのは、球団初の快挙だった。「高校四天王」の一角として甲子園を沸かせた19年ドラフト1位右腕が猛虎史に1ページを記し、2位巨人に再び4・5差。会心の首位固めナイトだ。

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西純はひとたびマウンドに上がると、強気に直球をビシビシと投げ込む。この日も7割近くが直球だった。そんな西純も、マウンドを降りれば優しい好青年になる。

昨年11月、宮崎でのフェニックス・リーグ。ある球場のサブグラウンドでウオーミングアップをしていると、グラウンドの外で幼稚園児たちが散歩をしていた。ネット越しに声援を送り、ある園児がカエルを捕まえてナインに見せてきた。一同が苦笑いする一方、西純だけは優しく「すごいね!」と笑顔で対応した。腰をかがめ、うなずきながら同じ目線で園児と話した。優しい一面に同学年の及川も「純矢はマウンドに上がったら性格が変わるのに」と、そのギャップに目を丸くしていた。

ウイニングボールを手にした西純は、きっと腰を低くして「みなさんのおかげです」と、心の底から感謝しているだろう。謙虚で向上心旺盛。未来が楽しみだ。【前阪神担当 只松憲】