<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク0-1ヤクルト>◇11日◇ペイペイドーム
目の前であんな1発を見せつけられると、何とも悔しさが募るではないか。ソフトバンクの交流戦最終カードとなったヤクルト3連戦。いきなり相手主砲が快音を響かせた。2回。先頭で4番村上がホークス先発の石川から豪快に先制の19号ソロを右翼スタンド中段に突き刺した。
球界を代表するスラッガーとして年々成長を見せる21歳。4年前のドラフトは村上の母校である熊本・九州学院へ取材のため足を運んだだけに、どうしても気になる存在だった。ホークスは早実の清宮(現日本ハム)を1位指名。抽選で外れ、村上の芽もあるのか、と思って校舎内でソワソワしていたことを思い出した。結局、外れ1位で抽選となった履正社の安田(現ロッテ)も外し、さらに仙台大の馬場(現阪神)も逃した。同じく清宮を外していたヤクルトが外れ1位で村上の交渉権を得た。指名しなかったのだから「ホークス村上」は誕生するはずもなかったのだが、九州からスター候補の逸材を逃したさみしさは残った。
「いやあ、よく打ったよね。やっぱり昨日(10日)、ロッテの佐々木朗から打った1発が良かったんじゃないかな。あれで気持ちよく振れるようになったと思うよ」。熊本市内の自宅でホークス戦をテレビ観戦していた村上の恩師である九州学院の坂井宏安監督も声が弾んでいた。
ただ、この1発はホークスにとって痛恨弾となったことは確か。交流戦の「王者」もこの1敗で9年ぶりに交流戦の勝ち越しがなくなった。リーグ順位に目を移しても首位楽天とは2ゲーム差。残り2試合、絶対に落とせなくなった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】