阪神にトレード移籍で二保旭投手(31)がソフトバンクから移籍してきた。2日に通告され、5日に兵庫・西宮市の球団事務所で入団会見。その日の午後に東京入りした。引っ越し先の住居探しも後回しで7日ヤクルト戦(神宮)でいきなり先発デビューした。

いきなり安打、四球で3番山田に3ラン。4番村上にも二塁打を浴び、1回は打者8人で32球を費やし、4安打4失点。「(2点を)先制してもらったあとにすぐに逆転されてしまったのでチームに申し訳ない気持ちが大きいです」と大炎上を反省した。

今季ソフトバンクで1軍で2度先発をしていたとはいえ、新天地で極度の緊張をしていたのだろう。2回2死から8番中野が右前打で出塁し打席が回ってくると、ヘルメットに手袋、レガースも装着しベンチから出てきたが、肝心のバットを忘れていた。2回も2四死球ながら無失点に抑えると、3回からは安定した投球で「0」を重ね、5回4失点。初回はSNS上で厳しい批判の声が多かったが、だんだんと虎党にもその実力を認められていった。矢野監督も「まあ、先発でも、中に入るとしても力になってくれるんじゃないかな」と期待を膨らませた。

クールで、満塁で登板しても動じない強気のマウンド度胸とは違い、取材対応は丁寧過ぎるほど丁寧だ。ちょっと高い声で、自分の状態を自分の言葉で説明する。練習後、体が冷えないかこちらが心配することもあった。16年には右肘手術を受け、先日引退を発表した松坂とともにリハビリに励む姿も見てきた。08年育成ドラフト2位で入団し、11年に創設された3軍1期生としてチャンスをつかんだ苦労人。後半戦は必ず虎の戦力となってくれるはずだ。【石橋隆雄】