東京五輪の裏で、甲子園では阪神がエキシビションマッチでセ首位の強さを見せつけている。ロッテ、西武を相手に6連戦を戦い5勝1敗で4連勝中だ。

初の試みであるエキシビションマッチ。試合前に「両チームの申し合わせで、9回打ち切り、特別ルール」と場内アナウンスされる。こちらも取材したことがないので、7月27日の初戦はドキドキした。阪神2点リードの9回2死、スタンドの虎党が「あと1人」のリズムでメガホンをたたく中、同僚の記者に「これって9回裏もあるんですかね」と聞かれた。2月の練習試合などでは、投手の登板機会を確保するために勝ち負け関係なく9回裏も行う場合もあるが、そのままエドワーズが最後の打者を仕留め、阪神勝利で盛り上がったまま無事終わった。

オープン戦と違い、記録も残らないからか「特別ルール」も日を追うごとに多くなっている。7月31日西武戦では小野寺に代打原口を送ったが、その後の守りでは再び小野寺が守った。1日西武戦では8番指名打者でスタメン出場の木浪が8回から4番一塁に打順を「ワープ」した。普段なら認められない何でもありなエキシビションマッチも、後半戦へ向け、多くの選手にチャンスが与えられると思えばありだ。

観客も多い日は1万人近くが入り、スタンド全体から熱いメガホンの声援を送っていた。首位の立役者でもある佐藤輝、中野、伊藤将らルーキーは、まだ満員の甲子園でのプレー経験がない。チーム状態などもあり結果論ではあるが、甲子園で観客が1万人を超えた6月25日以降の12試合は3勝8敗1分けだった。ほかにも及川、小野寺ら経験の浅い若手や高卒ルーキー高寺にとっても、この甲子園でのエキシビションマッチは大きな経験になったはずだ。

甲子園のスコアボードも新鮮だった。通常は打率、本塁打などの成績を表示する右下のスペースが、記録を出さないため普段とは違い、審判4人の名前を載せていた。シーズン中では、試合中になかなか表示されない。記者は審判の名前も必要な情報だと思う。スペースの都合などもあるだろうが、ぜひ後半戦でも表示してほしい。初めてのエキシビションマッチの取材は、新しい発見がたくさんある。【阪神担当=石橋隆雄】