オリックスの3代目スタジアムリポーター、田畑実和さん(25)は歌えるリポーター“うたリポ”として、場内でのアナウンスに加えて、試合前には美声を届けている。京セラドーム大阪やほっともっと神戸ではその笑顔と、チームを波に乗せるきれいなメロディーは欠かせない。オリックスファンには知られた歌姫だ。

兵庫県出身のシンガー・ソングライター。夢見た京セラドーム大阪でのライブ空間に「こんなに広い場所で歌ったことはなかったので、頭が真っ白になります。スタンドからの拍手の響きは、今まで感じたことのない体感。すごいところに立たせてもらっているなぁ、本当にありがたいなぁと、歌わせていただいてます」と喜びを隠しきれない。

田畑さんは、3歳からピアノを習い、自宅でディズニー映像を見ながら歌を覚えた。小学3年で「劇団四季を見たとき、将来、歌う仕事がしたいなぁ」と決意。「音楽を習い、大学も音楽専攻に」と夢を追いかけた。ただ、人生の岐路では一般就職を選んだ。「歌手になる道を1度諦めて就職したんですけど…。2年前に本格的に音楽活動に専念しました」。好きな音楽を諦めきれなかった。

オリックスのスタジアムリポーター募集は知人から教えてもらい、ギターを手に応募した。祖父が野球ファンで「小さい頃にスタジアムで『野球選手、かっこいいなぁ』って。最初は、ボールの速さにビックリでした。バッティングセンターで体験してみても、私は全然、当たらないので…」。

縁あって3代目となり、最近はすっかりオリックスに魅了され「ビジターの試合もテレビで見るようになりました。見るのが楽しくなって…。野球がない月曜日…寂しい」と思いにふける。

試合前に披露する自身のオリジナル曲「はじまりの足音」については、「曲に合わせて手をたたいてもらったり、楽しんでもらえたら」と楽しい空間になるよう願って歌う。一塁側ベンチで試合に備えるナインも手拍子を送るシーンが目立つ。“オリ姫”の音色で一体感が生まれている。【オリックス担当 真柴健】