<ソフトバンク5-2西武>◇28日◇ペイペイドーム

ソフトバンク千賀はペットボトルの水を飲み干して勝利のハイタッチの列に加わった。9回、守護神森が1死二、三塁のピンチを背負ったが、西武の反撃を許さず無失点で試合を締めた。千賀にしてみればホッとした気持ちとともに「完勝」の形を紡げなかった悔しさも去来していたはずだ。

ソフトバンク対西武 2回裏ソフトバンク2死一塁、千賀(左)は左越え2点本塁打を放った甲斐を迎える(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対西武 2回裏ソフトバンク2死一塁、千賀(左)は左越え2点本塁打を放った甲斐を迎える(撮影・屋方直哉)

広報から送られてきた千賀の降板コメントには悔しさがにじんでいた。

「野手の方が先制点を取ってくれて、チームとしてすごくいい試合運びができたと思います。ただ5点ももらったのに、イニング途中で降板し、難しい試合にしてしまった。中継ぎの方、野手の方に本当に申し訳ないです」

エースとして正直な気持ちだろう。チームが9連敗中だった西武高橋との投げ合い。さらに9月が終わろうとしているのにBクラスに甘んじている現状。自らの投球で鼓舞することが最大にして最低限の仕事と自覚しているはずだ。

立ち上がりから安定した投球を見せた。先制点をもらって3、5、6回と得点圏に走者を出したがホームを守った。だが、7回は先頭の四球をきっかけに2失点。117球を投げたところで嘉弥真の救援を仰いだ。自身もチームも渇望する6連戦の初戦を取ったもののラストスパートをかけるチームに最高のパフォーマンスで応えたか-。そんな思いが反省の弁となったのかもしれない。

ウエート室にまで持ち込むという「野球日記」には、ここ数年気づいたことなどを細かく記し続けている。7勝目を手にしても満足はしていないはず。残り数試合となったマウンド。頼れるエースとして次戦への強い思いがつづられたはずだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】