2017年10月26日、ドラフト会議の取材を終えて深夜タクシーに乗っていると会社から電話がかかってきた。

「明日、朝いちで熊本に飛んでもらえる? 」。ヤクルトが1位指名した捕手の指名あいさつが昼にあると言われた。村上宗隆内野手(21)だった。

九州学院で高校通算52本塁打を誇り“肥後のベーブ・ルース”の異名があった。当時の肌感覚で言うと、話題性は同世代の日本ハム清宮、ロッテ安田に次ぐ3番手。ドラフト指名後の学生の多くは、喜びが前面に出て初々しい。村上は落ち着いていた。17歳にして体は大きく、浮かれず、口数も少ない。ただ、長距離砲として比較されていた清宮、安田に対し「上に立たれたという思い。この悔しさを忘れない」とプロで見返す覚悟を見せていた。

今季、2年連続の全試合4番出場でリーグ優勝に貢献した。「プロはやった結果が自分に付いてくる」。惜敗したが日本シリーズ第1戦では2ランも放った。高卒4年目にして十分すぎる実績を重ねた。舞台を東京ドームに移してからの2試合は無安打と鳴りをひそめている。「優勝チームの4番」から「日本一の4番」に。最後は快音を響かせて、頂点を決めたい。【遊軍 鎌田良美】

2017年10月27日 指名あいさつを終えて色紙に「感謝」としたため、笑顔を見せるヤクルトのドラフト1位、九州学院・村上宗隆
2017年10月27日 指名あいさつを終えて色紙に「感謝」としたため、笑顔を見せるヤクルトのドラフト1位、九州学院・村上宗隆
SMBC日本シリーズ2021第1戦 オリックス対ヤクルト 8回表、中越え2点本塁打を放ちガッツポーズの村上(2021年11月20日撮影)
SMBC日本シリーズ2021第1戦 オリックス対ヤクルト 8回表、中越え2点本塁打を放ちガッツポーズの村上(2021年11月20日撮影)