<ソフトバンク9-1楽天>◇6日◇ペイペイドーム

まだあどけなさが残る童顔だが、心棒をしっかりと持ってグラウンドに立っている。「僕は毎日が勝負ですから」。プレースタイルはチーム状況に左右されることはない。7年目のソフトバンク川瀬が「マー君」攻略の突破口を開いた。「いい投手なので。腹くくって思い切り行った」。3回2死二塁。楽天の先発田中将に2球で追い込まれた。3球目の直球をファウル。4球目のスプリットはしっかり見送った。「外野が前に来ていたので、しっかり飛ばそうと。いい結果になりました」。5球目。外角高めに抜けるような149キロの直球を強引にたたいた。打球は左翼越えの先制二塁打となった。

3回裏ソフトバンク2死二塁、川瀬は左越え先制適時二塁打を放ちポーズを決める(撮影・梅根麻紀)
3回裏ソフトバンク2死二塁、川瀬は左越え先制適時二塁打を放ちポーズを決める(撮影・梅根麻紀)

同点で迎えた5回1死満塁。今度は低めの球に食らいついた。ひざ下に落ちる田中将のスプリットにバットをうまく合わせ勝ち越しの中犠飛。中軸が続き、この回3得点。マー君を攻め落とした。本拠地に戻って楽天に連勝。勝負の8月戦線もチームは2勝2敗1分けと五分に戻した。誰もが苦しく厳しい戦いを強いられる中で、川瀬を突き動かしてるのは「悔しさ」とさらなるレベルアップに向けた「向上心」かもしれない。

5回裏ソフトバンク1死満塁、川瀬は勝ち越し中犠飛を放つ(撮影・梅根麻紀)
5回裏ソフトバンク1死満塁、川瀬は勝ち越し中犠飛を放つ(撮影・梅根麻紀)

レギュラー奪取を掲げながら開幕メンバーから外れた。「ゼロからやり直せ」。小久保2軍監督から言われた言葉を実践し続けてきたという。強い打球を求め、バットを振り込んだ。守備も捕球から送球の安定度が上がった。「いつもレギュラーになりたいと思っていますから」。夏場はそうめんで満腹だったのが、体を気遣う夫人の手料理のおかげで食欲も旺盛になった。チームには今宮、周東、牧原大、野村勇…。内野陣の層は厚い。正念場の夏をしっかりと乗り越えなければ、自らにとっても「収穫の秋」を迎えられないことは、川瀬自身が一番自覚している。【ソフトバンク担当 佐竹英治】