ソフトバンクが球界初となる「4軍制」を正式に発足させた。すでに監督、コーチ陣の組閣は発表されていたがようやく11月30日、福岡・筑後市のファーム施設内で4軍設置の正式発表会見が行われた。記者会見には小川4軍監督、太田球団専務、三笠GMに加え、西田筑後市長も出席した。

4軍制の導入に関して球団は「さらなる若手選手育成とチーム戦力強化」を目的とした。今ドラフトで支配下、育成を含め計20人を獲得。現在、ホークスの保有選手は120人を超えた。50人以上の選手たちが「支配下入り」を目指すことになる。シーズンごとのチーム編成事情にもよるが、支配下入りできる選手は年に2人程度。さらに1軍での活躍となれば、限りなく「狭き門」ではある。

今季、中継ぎとしてブレークした藤井は広島を退団後、独立リーグの四国IL・高知を経て育成選手でホークス入り。NPB球団を「戦力外」となった男の見事な復活劇となった。千賀、甲斐、牧原大など育成出身のプレーヤーが1軍で活躍。10年からスタートした3軍制の「果実」は確かに実った。下部組織である「4軍導入」で、さらなる人材発掘、チーム強化につなげようということなのだろう。選手間の競争激化を促しながらもモチベーションを維持させるのは難しい問題ではある。

「発掘」と言えば、同ファーム施設でロマンをかき立てる出来事があった。新設予定の寮の敷地内で筑後市の発掘調査が行われているのだ。11月から始まった調査では弥生時代から古墳時代である約2~3世紀の遺跡が見つかった。年代的にはあの「邪馬台国」の時代と合致するのだが、残念? ながら発掘されたのは筑後市教育委員会によると「一般的な集落跡」とのことだった。4軍制導入で古代の壮大な夢も発掘? かと心ときめいたが、調査は12月末で終了。筑後市が記録保存した後は再度、埋め戻され新寮の建設がスタートするという。

孫オーナーの「号令」でスタートした4軍制が、チーム強化への好循環を生むのか-。今夏はチーム内に新型コロナウイルス感染がまん延。主力選手の離脱の穴を埋めたのは野村大、増田、谷川原ら「筑後トリオ」の活躍だった。残念ながらチームは最終戦でV逸という屈辱を味わったが、若手の活躍は心強くもあった。花が咲くのはしっかり根が張ってこそ。腰を据えたチーム作りで「常勝再建」を果たしてもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】