ソフトバンクの大砲候補・リチャードが「変身」のキャンプに挑んでいる。3日、全体練習が終了した午後3時前。メイングラウンドのアイビースタジアムで志願の特打を行った。ケージ裏には、張り付くように王球団会長の姿もあった。約45分間、リチャードは懸命にバットを振り続けた。

昨年は三塁の定位置取りに失敗。自慢の打撃でもアピールすることはできなかった。「キャンプのテーマは『がむしゃら』です」。有言実行の6年目が始まった。「変身」の姿は藤本監督も感じ取っている。キャンプインの1日。リチャードは宿舎の藤本監督の部屋をノックした。「(キャンプは)どういうふうに過ごせばいいですか」。そう問いかけてきたリチャードに藤本監督は20分ほど話をしたという。「本人が変わっていかないとね。練習に対する姿勢とか、コーチを捕まえてでもやるとか。そういうところが大事になってくる」。3日連続でアーリーワークに参加し、この日は志願の特打。「見ていたら、集中して打っていたし、目つきが変わってきた」と藤本監督も少しばかりリチャードの変化が伝わってきたようだ。

栗原の三塁コンバートに加え、新外国人ホーキンス、アストゥディーヨの加入。競争激化が「ロマン砲」を刺激したのかどうか分からないが、リチャードは変わりつつある。特打を見守った王会長は「(リチャードは)今年に懸けているからね。本当によく飛ぶよね」と、何度もうなずきながら球場を後にした。

練習後。報道陣に囲まれたリチャードは言った。「話しかけられないくらい練習している人っているじゃないですか。そういうのを目標に毎日やっています。しゃべるのは(結果を出した)後からにします」。6年目の覚醒へ--。今は不言実行の春を貫く。【ソフトバンク担当 佐竹英治】