ソフトバンクの宮崎キャンプは初めての雨となった。

A組、B組が室内練習場を午前と午後を分け合う形の2部練習である。キャンプ地を高知から宮崎に移してもう20年がたった。12球団NO・1といえるこの生目の杜(もり)運動公園の施設は1、2軍合同キャンプが最大の利点でもある。

A組が使用するメイン球場のアイビースタジアムと、B組の第2球場が隣接。サブグラウンドは内野4面、さらに多目的グラウンドも整備されている。コンパクトにまとまりながらも十分すぎる施設内容に訪れる球界関係者たちは異口同音に称賛してきた。ホークスは宮崎キャンプとなってリーグV6度、日本一7度。輝かしい成績を収めてきた。まさにキャンプ地効果と言っていいだろう。

そんな恵まれた環境も次代を狙う若手選手たちにとっては「近くて遠い」距離感も感じているのではないだろうか。この日、午後練習組の勝連、仲田、牧原巧、笹川、緒方、川村の若手左打者6人がA組練習にやってきた。主砲柳田、FA加入した近藤の打撃練習を見学するのが目的で、小久保2軍監督の発案だった。同じ敷地内で練習に励んでいるものの、グラウンドが別で練習しているだけになかなか最高の「教材」を目にすることはできないのだ。「(柳田、近藤の)打撃の間(ま)をじっと見ていました」と2年目の仲田は、快音を響かせる先輩打者のスイングに目をこらしていた。「近くて遠い」のはそれだけではないだろう。3年ぶりV奪回を目指すチームはFA移籍の近藤、嶺井、米国から戻った有原、新外国人のガンケル、オスナ、ホーキンス、アストゥディーヨ…。大補強を敢行した。今季のステップアップを目指す若手選手たちにとって、支配下昇格や1軍舞台での活躍のハードルはさらに高くなったように感じる。それでもプロの世界。自ら勝ち抜いて行かなければ活路はない。「巨大戦力」を突き破ってブレークする若鷹の登場を期待している。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

雨のため室内で練習が行われたソフトバンクの宮崎春季キャンプは、選手でいっぱい(撮影・屋方直哉)
雨のため室内で練習が行われたソフトバンクの宮崎春季キャンプは、選手でいっぱい(撮影・屋方直哉)