<オープン戦:ソフトバンク4-2DeNA>◇19日◇ペイペイドーム

「ペッパーミル」のジェスチャーを一気に列島に広め、熱狂的な人気となっている侍ジャパンのヌートバー。「1番打者」の固定に腐心するソフトバンク藤本監督にとって、何ともうらやましい存在に映っているのではないだろうか。3年ぶりのV奪回を目指すホークスにとってリードオフマン固定は最重要課題と言ってもいい。

7年目の飛躍を期待していた三森がキャンプ終盤から打撃不振。オープン戦では打席機会を増やすため2軍戦との掛け持ちもやった。3日間で親子ゲーム計6試合出場の強行軍もあった。何とか打撃上昇の手応えをつかんでもらいたい、という藤本監督の親心だったのだろう。そんなリードオフマン候補に復調の兆しが見えてきた。

「真っすぐをコンタクトすることができました。とにかく次のバッターにつなぐことを考えて打席に入りました。いい打撃ができたと思います」。三森は1番二塁で先発出場。8回の4打席目に1死一塁から左中間を破る適時二塁打。逆転勝利への口火を切った。

試合前の打撃練習が終わった後、三森はバットを見つめながら言った。「打撃の感覚は悪くないんですが、積極的に打ちにいくことも大事ですけど、しっかり球を見ていこうとも思っています」。初球からでもどんどんバットを振っていく積極性が持ち味でもあるが、1番打者としての役割をしっかり踏まえた上で、はやる心も抑えて、きちんとボールを見極めたいと話していた。

その言葉通り、初回の1打席目はカウント3-1から5球目の直球を見送って四球を選んで出塁した。1点をリードされた3回の2打席目。先頭打者で初球から3球連続で積極的にバットを振った。この打席、当たりこそ悪かったが一塁内野安打で出塁。この日は4打席中3出塁としっかり役目を果たした。「打席の感覚も良くなってきているので、継続して結果を出していければと思う」。まだまだ納得はできないが、残り5試合でさらに上向きの状態に仕上げていくつもりだ。ファンから「軍師」と呼ばれる男は、助っ人侍にも負けない活躍を誓っている。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対DeNA 8回裏、適時二塁打を放ち、悪送球の間に三塁へ進んだ三森(左)は村松コーチと笑顔で話す(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対DeNA 8回裏、適時二塁打を放ち、悪送球の間に三塁へ進んだ三森(左)は村松コーチと笑顔で話す(撮影・岩下翔太)