学生の部活をのぞき見たようなさわやかさが残った。7日、ロッテ投手陣の砂浜トレーニングを眺めていた。風が強かった。砂利で目が痛い、顔も痛い。髪はべたつき、腕時計は傷つき、服は汚れた。勘弁してと思うような天候だった。

選手たちも序盤はしんどそうに走っていた。けれど後半は、なんだかんだ笑顔が増えていた。小野晋吾投手コーチ(48)は、吹き付ける砂を顔面に受けながらトスを上げ続け「1、2、3、4、5、痛い!6、7、8、9、痛い!…」と数える合間に絶叫。それでも笑みを絶やさずに捕球トレに付き合った。

途中で吉井理人監督(58)が視察に来た。海の向こうに見える陸地を指しながら「アメリカが見えるなあ。ロサンゼルスやな」と、とぼけてみせる。すかさず佐々木朗希投手(22)が「青森じゃないんですか」と乗っかった。壮大な会話だが、それは浦安だ。

ZOZOマリン外周に戻ると、05年日本一メンバーの手形モニュメントがある。道すがら、黒木知宏投手コーチ(49)が自身の手形に手をはめる。本人なので当然ぴったり。周りの選手たちが「お~!」「本物だ~」とわいていた。

私も海辺で育ったので、中学生のころ運動部の練習メニューには砂浜ダッシュがあった。この日の選手と監督コーチ陣は、きつい練習をやり切った後の部員と顧問の先生みたいに見えた。

吉井監督いわく、球場ばかりではモチベーションが上がらないから砂浜トレを取り入れたとのこと。強風という想定外の苦境を、ちょっと楽しんで乗り切った選手たちの心持ちはさすが。同時に、指導する首脳陣が明るいというのも大事な要素だなと感じた1日だった。【遊軍 鎌田良美】

砂に足を取られて転倒するロッテ佐々木朗(左)。右は小野投手コーチ
砂に足を取られて転倒するロッテ佐々木朗(左)。右は小野投手コーチ
投手陣の砂浜ダッシュを視察に来るも、あまりの強風に顔を覆うロッテ吉井監督
投手陣の砂浜ダッシュを視察に来るも、あまりの強風に顔を覆うロッテ吉井監督