日本ハムの沖縄キャンプが、1日から始まった。2軍拠点の国頭には、復活を目指し、黙々とトレーニングに励む選手がいる。2年目を迎える育成の山口アタル外野手(24)だ。昨年7月、左膝前十字靱帯(じんたい)の再々建術を受け、全治8カ月。6月前後の実戦復帰を見据え、別メニュー調整を続けている。

ルーキーイヤーの昨季は2軍で36試合に出場し打率2割3分5厘、2本塁打を放った。さあここからというところでケガに見舞われたが、持ち前の明るさは健在だ。時間はかかるが「急いで悪い結果になるより、ちゃんと治していい結果を残せるようにやるっていう目標があるので」と慎重。しっかり動ける体に戻すことに今は専念している。

同時に昨季、途中で断念していた、あることに再挑戦している。カナダ出身の山口は、昨年1月の入寮時、漢字練習帳を持ち込んだが「3年生の漢字から急に難しくなった」と、途中で挫折してしまっていた。2年生の漢字の途中から、書くことはできるが「用」や「理」など「一文字で使うことが少ない漢字の意味を覚えるのが難しい」と苦戦していた。

トレーニングの合間を見つけて、年明けから「もう1回始めました」と、3年生の漢字に向き合っている。3~4つの漢字の意味を確実に頭にインプットするのに30分から1時間を擁するという。それでもあきらめない。「英語のことわざに、こういうのがあるんですよ。“How you do anything is how you do everything.”。朝の歯磨き、靴ひもの結び方でも何でも同じ。意識はすべてに通じる。野球の練習も漢字の練習も努力が大事」。野球で大ケガ、漢字練習でも壁にぶちあった。だからこそ、心身ともに、より強くなって戻ってきてくれると、信じている。

1年前、このコラムの自分の2月の担当日に、福田俊投手を取り上げた。久しぶりの再会がうれしかったということをつづった上で最後に、福田「スグル」と山口アタルの“キン肉マン兄弟”での活躍を願った。スグルは昨季、中継ぎで29試合連続無失点の球団記録に並び、初白星も挙げるなど飛躍した。今季こそ、スグルの快投とアタルのプロ1号という“兄弟”共演による勝利をと、ひそかに期待している。【日本ハム担当 永野高輔】