データ好きの野球ファンにとって、阪神の西勇輝投手(33)は今シーズン要注目の存在だ。

現在プロ野球史上4位の、276試合連続先発登板を続けている。オリックス時代の11年10月1日楽天戦に3番手としてマウンドに上がったのが、現状では最後の救援登板。次戦の同13日ロッテ戦から、先発登板の専門家に転身した。

今季の開幕から昨季と同じ18試合に先発すれば、三浦大輔(DeNA)294試合と並びプロ野球歴代3位となる。

なお史上最長は山内新一(南海-阪神)311試合で、残り35試合。2位は石川雅規(ヤクルト)306試合で、あと30試合だ。石川は21年11月1日広島戦で13年ぶりにリリーフに立っており、すでに記録はストップ。現役では西勇の一人旅が続いている。早ければ来季にも、史上最長の座に就きそうだ。

19年に阪神へFA移籍して以降の5年間で、44勝を稼いできた。国内他球団からの移籍投手による勝利数チーム上位は

1位 下柳剛(日本ハム)80

2位 小林繁(巨人)77

3位 若生智男(大毎)72

4位 江本孟紀(南海)61

5位 権藤正利(東映)46

で、西勇は6位に該当する。今季中の50勝到達は濃厚で、5人目となりそうだ。

阪神50勝ならすなわち、セ・リーグ50勝でもある。両リーグでこの大台に乗せた投手は、過去6人しかいない。西勇は18年までのオリックス時代に74勝。あと6勝で7人目となる。

通算勝利数の多い順に、セ・パそれぞれの勝ち星を挙げると、

小山正明(阪神-東京・ロッテ-大洋)セ180勝+パ140勝=計320勝

工藤公康(西武-ダイエー-巨人-横浜-西武)セ62勝+パ162勝=計224勝

高橋一三(巨人-日本ハム)セ110勝+パ57勝=計167勝

坂井勝二(大毎・東京・ロッテ-大洋-日本ハム)セ54勝+112勝=計166勝

野村収(大洋-ロッテ-日本ハム-大洋-阪神)セ68勝+パ53勝=計121勝

江本孟紀(東映-南海-阪神)セ61勝+パ52勝=計113勝

90年生まれの西勇は、野手も含め今季の球団最年長である。投打に生え抜き選手が続々と育つ阪神にあり、他球団を知る存在は貴重だ。ほかにも2000投球回へあと60イニング1/3、1500奪三振へは残り89。若さと勢いで連覇を目指すチームを、ベテラン右腕が快記録連発でピリリと引き締める。

【記録室=高野勲】(22年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)

下柳剛(2011年8月撮影)
下柳剛(2011年8月撮影)
1964年オールスター第3戦 東京・小山正明
1964年オールスター第3戦 東京・小山正明