超異例のシーズンは2カ月半が経過した。パ・リーグは開幕2カード目から同一カード6連戦が9カード組まれ“クセの強い”戦い方を求められた。残りおよそ半分。今後はCS進出2チームをかけ戦いは激化していく。日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(44)は、ここまでの各チームに何を感じているのか。ズバリ本質を突く論評に耳を傾けてもらいたい。

里崎智也氏(17年4月17日撮影)
里崎智也氏(17年4月17日撮影)

ロッテから評論をスタートしたいと思います。なぜなら、特筆すべき数字が見当たらないんですよね、ロッテは。チーム打率は4位、チーム防御率は5位、軒並み、並の数字なんですよ(データはすべて9月3日時点)。

逆の意味で驚きなのは、得点279に対して失点は300。失点が上回ってるんですね。これで本当に2位なの? と不思議になってきます。

そこを考察するのが評論家の役目ですから、しっかり検証したところ、見えてきたものがあります。それは「自分たちはミスはせず、相手のミスにつけこむ野球」です。

四球はリーグ最多の294個を奪い、一方の与四球はリーグ3番目に少ない231個。さらに、守備率9割8分9厘、失策27はいずれもリーグトップです。そして、大負けはしますが、接戦に強い。

こう言えば、粘り強いチームのように聞こえますが、投手力、打力という明確な武器がない中では、ギリギリの戦い方と言えます。

7月は10勝16敗(リーグ最下位)、一転して8月は16勝8敗(ソフトバンクと並びリーグ1位タイ)。好転したのは、8月に4回あった火曜日は先発美馬で3勝1分け。同じく金曜日は石川で4勝0敗。豊富とは言えない先発ローテーションで、火、金をひとつも落とさなかったのは2位に食らいついている要因です。

加えて、非常に大きかったのが6連戦最初のカードとなったオリックス戦での6連勝。この6勝分があったからこそ、このカードはここまで12勝2敗1分け。7月に借金6を負いながら、8月に息を吹き返せたのは、この貯金が物を言いました。

8月22日ロッテ対ソフトバンク 1回裏ロッテ無死、中越え二塁打を放つ和田
8月22日ロッテ対ソフトバンク 1回裏ロッテ無死、中越え二塁打を放つ和田

今季のロッテは荻野が離脱すれば和田が、レアードが故障すれば安田を4番に、そしてマーティンが破壊力を発揮して、ジャクソンショックは唐川が埋めてと、誰かが代わりを務めてきました。CS進出のためには、このギリギリの戦いを続けるしかないですね。最後までこのスタイルを貫くのは、非常に大変だと思います。7、8月の浮き沈みの激しさで分かるように、9月にどんな試練があるか分かりません。

シーズンは残り半分。オリックス戦での優位性を保ちながら、ミスに付け込む野球が継続できれば、リーグ優勝、CS出場権に手が届くかもしれません。(つづく)

◆YouTuber里崎氏の「里崎チャンネル」は登録数約35万人(3日現在)。「ユニホームに未練はない」と言い切り、解説と取材に情熱を注ぎ、球界発展のために愛情を込めた評論、視点を提供中。