AIやロボットが社会に広がる中、野球指導の現場でもテクノロジー化が進む。1月26日、スポーツ向けAI解析×パフォーマンス向上サービスを提供する「株式会社NineEdge」(ナインエッジ)が、スマートフォンで野球の動作解析、データ測定ができる「ForceSense」のアプリをリリースし、注目を集める。

無料でバッティングやピッチングの動画を撮影し、体の軌道、高さ、傾き、スピードなどを自動で解析できるアプリ。複数の解析結果を比較表示することも可能で、残像表示やスローモーション再生、インサイト(解析結果)表示を確認することができ、データを見ながら技術向上につなげられる。

「NineEdge」の代表取締役CEOの渡辺一矢氏(38)は「自分のフォームなどを解析したいけど、費用や環境の面でできないって選手がいると思うんです。そういう方に投球フォームの変化やスイングの変化を目で見て、レベルアップにつなげてもらえればと思います」と話した。

1月5日には、神奈川・厚木市内で中学硬式野球チーム「厚木ヤング」主催の野球教室で体験会が行われた。小学4年生から中学3年生までが参加。アドバイザー兼エバンジェリストを務める元巨人、西武の片岡保幸氏(40)も訪れ、子どもと親が解析映像を見比べながら指導が行われた。

片岡氏 テクノロジーを使って、パフォーマンスの向上を高めるチャンスは多いと感じていますし、自身の感覚や指導者の指導だけじゃなく、映像やデータを目で確認することによって、いろんな効果が生まれると思います。

子どもたちを指導する側にも、メリットは大きかった。厚木ヤングの井原尋大代表は「すぐに映像を比較して、変化が見えるので非常にわかりやすかったです」と感激。すでに、大リーグやプロ野球、アマチュア野球の世界でも「トラックマン」や「ラプソード」などが浸透するが、チーム単位から個人へと可能性は広がる。

渡辺CEOは「全てのスポーツ選手が、テクノロジーとデータ活用することを実現したいと思っていますし、スポーツを楽しみながら、うまくなっていってほしいと思っています」と願いを込める。熱い思いの根底にあるのは、自身が経験したアマチュア時代の苦い経験だった。【久保賢吾】

(つづく)

◆渡辺一矢(わたなべ・かずや)1984年(昭59)3月18日生まれ、宮崎・都城市出身。都城高、第一経済大(現日本経済大)を経て、岡三証券に入社。退職後に株式会社JPFを設立し、ベトナムで事業を展開した。ROBOT PAYMENT株式会社に参画後、中国、ベトナムでも事業を展開し、事業戦略室長を経て、15年10月にLeapMind取締役COOに就任。20年11月に株式会社NineEdgeを設立した。