6月19日の開幕から1カ月が経過し、今季の1つの傾向が見えてきた。救援陣の防御率に注目すると、セ・パ両リーグともに悪化。NPB全体では4点台にダウンし、先発よりも悪い数字となっている。「延長10回まで」や、6連戦の続く異例のシーズンとなる今季は例年よりも継投がカギを握るシーズンとなりそうだが、各チームが救援に苦しむスタートとなっていた。

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1日3本のサヨナラ本塁打が飛び出す派手な試合もあれば、先日の19日にはDeNA山崎、広島菊池保が抑えに失敗と、今季は救援陣の打たれるシーンが目につく。実際に先発・救援別に防御率を見ると、救援の数字は4点台に下がり、先発よりも悪い数字に。特に顕著なのはセ・リーグで、昨季の3・60から4・59と1点近く数字を落としている。球団別に見ると、昨季は12球団トップだった阪神が、5・80の同最下位までダウン。阪神以外にも1点近く数字を悪くさせたチームが多く、12チーム中9チームが数字を落とした。

救援陣に苦しむチームが多い中、好成績なのが楽天で、12球団断トツの防御率1・85。9試合無失点の新守護神・森原に加え、勝ちパターンで登板するブセニッツ、牧田、シャギワも防御率1点台。救援陣が崩れる試合が少なく、逆転負けがリーグ最少の3度。安定した救援陣は首位を走っている要因といえるだろう。

ここまではセ・パともに上位2チームが救援防御率でも上位に来る結果に。ヤクルトも4点台だが、リーグでは唯一昨季から数字を上げ、2位の要因ともいえる。異例のスタートとなった今季は、救援陣の出来が上位躍進につながるシーズンとなるのかもしれない。【多田周平】

○…救援陣の不振の一因に、与四球の多さがありそうだ。昨季と与四球率を比較すると、3・75から4・25に下がり、特にパ・リーグは4・53と大きく数字を落とした。今季は両リーグで満塁本塁打が12本出ているが、救援投手が打たれたのが8本と、四球で走者をためてから痛打されるシーンも目立つ。過密日程の今季は、主力投手が登板過多にならないよう考慮され、代わりに若手など経験の浅い投手の登板が増加。不調な投手が多いことに加え、さまざまな投手を起用していることも、救援陣全体の成績悪化につながっている。

広島対ヤクルト 9回表ヤクルト1死一、三塁、代打の青木に同点中前適時打を打たれた菊池保(2020年7月19日撮影)
広島対ヤクルト 9回表ヤクルト1死一、三塁、代打の青木に同点中前適時打を打たれた菊池保(2020年7月19日撮影)