とんだ「田口」違いですな。オリックス森脇監督が2日、休養を発表しました。担当記者によると実質、解任の色合いが濃いようですが、この世界、責任を取って身を引くことは仕方がない。

 そんなことをつらつら考えながらその日、阪神-ロッテ戦が行われた甲子園球場に足を運びました。すると一塁側ベンチによく知る人がいる。他でもない90年代半ば、オリックス黄金時代の主力だった田口壮氏です。現在は解説者を務めており、NHKの仕事で甲子園を訪れていました。

 何しろ、オリックス担当としては、後にも先にも(今のところですが)あんなに原稿を書いたことがないというあの時代。担当記者だった私は毎日、仰木彬監督、イチロー、あるいは田口氏と話しました。

 特に仲がいいということもありませんが(笑い)、会えば話しはできます。もちろんタイミングがタイミングだけに聞いてしまいました。

 「おやっ? 次、監督、やる感じ?」。いささか軽いですが、何しろ、昔なじみの気安さで許していただくとして。そう声を掛けました。

 「いやいや、勘弁してくださいよ。オファーなんてないですよ。今はしゃべる仕事が楽しいし。それにオリックスはコーチ経験なしでいきなり監督とかはないと思いますよ」

 困った顔をしながら田口氏は誠実に答えてくれました。こういうところが、なんともナイスガイです。

 実際、田口氏が監督になれば、当時のスター選手ですし、申し分ない。ごく個人的にそんなことを考えながら阪神-ロッテ戦を記者席から見ていました。

 最近は「ラジコ」といってパソコンでラジオを聞ける。イヤホンを耳に突っ込みながら試合を見ていると他球場の経過で、ときおり、巨人-オリックス戦の行われている東京ドームの情報を入れているときに「田口」という名前が出る。

 自分と同じようなことを言っているのかな、と思ったら巨人の19歳投手のことでした。とんだ田口違い。しかも抑えられているし。ややこしいのう。

 それはともかく、最近のオリックスの監督人事ぶりは激しい。今回、休養した森脇監督だって、前任の岡田彰布氏が解任されて、代行を務めたのがスタート。それ以前もコリンズ、石毛氏とか、シーズン途中で交代したり、1年だけだけだったり。私が担当記者で、仰木監督が長期政権をやっていたころとは隔世の感があります。

 こういうのはかつては阪神のお家芸と思われていましたが、最近、お隣のタイガースは経験から学んだのか、あまりゴタゴタしていませんね。

 ともあれ、福良監督代行は、黄金時代にイチロー(マーリンズ)と1、2番を打っていた渋い二塁手。温厚な人柄だし、監督業も向いていると思います。

 正直、合併球団になってからイマイチ個性が見えにくい感じを持つオリックスですが、地力はあるはず。OBの指導で、ここから反撃してほしい、と思うのですな。