7回表西武1死一塁、外崎の打球を失策する遊撃手木浪(撮影・前田充)
7回表西武1死一塁、外崎の打球を失策する遊撃手木浪(撮影・前田充)

皮肉と言うべきか。うまくできていると言えばいいのか。興味を引くシーンは7回だ。逆転された直後の阪神の攻撃。2死一塁で打席は好調・木浪聖也に回った。すでに3回に1安打をマークしている。ここでつなげば…。そんな虎党の期待にこたえ、木浪は快音のセンター返し。抜けるか。そう思った瞬間、西武の遊撃・源田壮亮が横っ跳びでキャッチ。二塁へグラブトスし、一塁走者を封殺した。

野球ファンなら知っているだろうが源田は半端な選手ではない。16年ドラフト3位でトヨタ自動車から西武に入団すると1年目で遊撃手の定位置を獲得した。それだけでなく昨季まで2年連続でフル出場。新人年からのそれは史上初という快挙だ。

源田のことを書くのは2学年下の木浪に期待するからだ。高校から大学、さらに社会人を経てドラフト3位で入団という状況はまったく同じ。そして新人ながら開幕スタメンが有力視されている。

その源田が好プレーを見せる前で、木浪は初めて守る甲子園の遊撃で失策を連発した。バットで汚名返上を狙ったが、よりによって源田に阻止されてしまう。まさにプロ野球という感じだ。

この日は明け方に雨が降ったが阪神園芸の実力でグラウンドコンディションは保たれていた。その辺り、普段はここで守ることの少ない源田はどう感じていたのか。

源田 すごくきれいに整備されていて守りやすかったですよ。ただ雨が降った後は1歩目が滑りやすい。だから最初にグラウンドに出たときに下(足元)は確認しておけ、という指示は出ていました。(木浪の失策も)滑ったんじゃないですかね。あれは仕方ないです。

滑りやすいことを想定していた源田は7回、木浪の打席でも事前の準備を持っていた。「こっちに飛んできそうだなと思ったので。少し(二塁ベース寄りに)守ってました」。美技も周到な用意からというプロの基本もここで見せていた。

う~ん。プロの一流は手ごわいぞ。そんな思いで虎番記者に囲まれる木浪にほんの少しだけ質問してみた。あの打球、どんな思いだった?

木浪 抜けたかな、と思ったんで。ああ、捕られたと。でも二塁ベース寄りだったんで。ポジショニングとかも参考にしなきゃいけないな、と思いました。

新人とはいえ、こちらもプロ。ちゃんと分かっているのだ。指揮官・矢野燿大が言う通り、すべては経験。それでも意識するのとしないのとでは天と地の差があるのは言うまでもない。(敬称略)

8回表西武1死二塁、秋山の打球をはじいてしまう遊撃手木浪(撮影・清水貴仁)
8回表西武1死二塁、秋山の打球をはじいてしまう遊撃手木浪(撮影・清水貴仁)