今回は少々、毛色の違った、しかもややローカルな「ねごと」ですが、なにとぞお許しくださいませ。ようするに「阪神も“斎藤真美魂”を見習え!」というお話です。

10月2日、25年にわたって朝の情報番組として関西地区で親しまれたABCテレビ「おはようコール」が終了しました。

95年の番組開始当初から日刊スポーツからコメンテーターとして多くの先輩が出演。私も06年から今春までの13年半、金曜日に生出演していたので、思い入れがあります。

その最終回で、サプライズというかニュースがありました。司会を務める斎藤真美アナが9月に結婚していたことを番組冒頭で報告したのです。

斎藤アナは最近でも、ある週刊誌の「芸能界が狙う『地方局アナ30人』」という企画取材で1位になった存在です。

彼女が「おはようコール」に出演するようになった14年から週に1度、番組前後になんだかんだと話す機会がありました。サッパリしていやみのない性格だなと感じていました。

そういう性格で見た目はご存じの方には言うまでもない長身、美貌の持ち主。ファンも多い。今回の結婚報告でいわゆる“真美ロス”になっている男性も関西には多いのでは、と想像します。

大阪出身、大学は神戸大だった斎藤アナ。実は就職活動の際に、東京のキー局にアナウンサーとして合格しているという事実はあまり知られていません。

業界の話ですが、アナウンサーという仕事は枠が少ないものです。どうしてもなりたければ場所はこだわっていられない。

東京出身で、東京の有名大学を出ている人が、なんの地縁もない地方の放送局でアナになっているということは、この世界ではごく普通のことです。

そういう状況があるだけに逆に言えば、東京のキー局でアナになるなどというのは志望者からすれば垂ぜんの的というか、ほとんど宝くじに当たるようなものです。

最近ではテレビ局の人気も以前ほどではないようですが、やはり女性アナはあこがれの仕事でしょう。

それでも斎藤アナは地元・大阪の朝日放送、ABCテレビに内定をもらうと、迷うことなく、そちらを選んだのです。以前に雑談でそのことを聞いたとき「だって大阪、いいじゃないですか」と言っていました。

別に斎藤アナだけではありませんが、東京と地元を比べて「地元がいい」という人も世の中にはたくさんいるでしょう。すてきなことです。それでもアナウンサーの世界でこういう人は、なかなか、めずらしい。

何の比較にもなりませんが、こちらも大阪出身でこれまでほとんど大阪での生活です。50代になった今でも小学校時代の友人たちと食事したりします。だからか、その話を聞いたとき「斎藤アナ、ええやないか」と思ったことを記憶しています。

ようやく阪神の話です。虎党だけでなく、その存在は「アンチ巨人」「アンチ中央」の代表だったはず。最近の状況は本当につらいものです。巨人に、東京に負けるな! 心意気ある女性アナウンサーに負けてるんちゃうぞ! と思ってしまうのです。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)