メジャー戦士の基本は「マンション鬼ごっこ」? 大方の予想通り、広島鈴木誠也選手がメジャー挑戦の意向を固めました。ポスティング制度で移籍が実現すれば、来季、新しい楽しみが増えます。

なにしろ右打者の和製大物打ちとくれば、過去を見てもいそうでいない。しかも大リーグでレジェンドとなったイチロー氏と同じ名字のスズキ。これは日米球界、注目の出来事です。

彼の最大の魅力は何と言っても体からみなぎるパワーでしょう。どこでそんなに鍛えたの? 数年前、マツダスタジアムで雑談したとき、少し考えて「あれがよかったのかもしれません…」とポツポツ語ってくれたことを思い出しています。

東京都内で育った鈴木選手。子どもの頃、住んでいたマンションでよく「鬼ごっこ」をしていたそう。それも10階以上あるマンションを舞台に、エレベーターなどまったく使わず、上から下まで駆け上がったり、駆け降りたりを繰り返したと言います。学校の休みなどそれを一日中、延々と続けていたと言います。

東京に住む現代っ子とはかけ離れたような豪快なエピソード。もちろん高校時代など野球の鍛錬もあるのでしょうが、いかにもスタミナがつきそうな話と納得したものです。

「鬼ごっこ」は子ども時代、誰でもやる遊び。「マンション鬼ごっこ」はそのスペシャル・バージョンかもしれません。そこに日本を代表する野球選手の“礎”がある…と思うと、今回の大リーグ挑戦も妙にワクワクしてしまうのです。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)

10月17日阪神戦で38号を放つ広島鈴木誠也
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