交流戦が終わり、レギュラーシーズンの再開。そこでいきなりの3連敗。阪神が当面のライバル、DeNAにコテンパンにやられた。結果を知らせるスポーツ新聞に大きな見出しが。「阪神、首位陥落!」。まあ現状の中身なら、これも当然の帰結として、受け入れるしかないか。

25日DeNA戦の9回、ベンチで厳しい表情を見せる阪神岡田監督(23年6月25日撮影)
25日DeNA戦の9回、ベンチで厳しい表情を見せる阪神岡田監督(23年6月25日撮影)

まだ6月の終わり。シーズンの半分も消化していない。監督、岡田彰布の目は先を向いている。だから、いまの時期、1位も2位もそれほど気にはしていない。でも岡田は気になる行動に出た。この3連戦の中、最もインパクトを残したのが佐藤輝の2軍行きであった。

横浜での2戦目、その日も先発から外れた佐藤輝は、身支度を整えていた。2軍行きを告げられ、2軍のいるナゴヤへ静かに移動していたのだ。これを知った阪神ファンはネットで疑問を呈した。「なんで2軍? そこまでの成績ではないだろう」といった佐藤輝擁護の声が多かったと聞く。それは岡田への批判にも通じ、「意味がわからん」と、辛辣(しんらつ)な意見が多くあったようだ。

一向に上がらぬ打率。増え続ける三振。それでも打点は多い。このアンバランスをどう受け止めるか。岡田は現状では改善の兆しなしと判断。2軍行きを決めたと思うし、これを一大事ともとらえていない。答えはシンプル。いまのままなら、チームのためにならない。それが判断材料だったに違いない。

普通、3連戦が行われている場合、それが終わってからの処置…といのが定番だが、今回はシリーズの途中で、佐藤輝を2軍に送り出した。最後のチャンスは1戦目で終わっていた。今永の前に手も足も出ず、感情も出さずにいた佐藤輝。この姿を最後に確認して、岡田もヘッドコーチの平田も迷いを消した。

23日DeNA戦の9回、今永の前に空振り三振に倒れる佐藤輝(撮影・垰建太)
23日DeNA戦の9回、今永の前に空振り三振に倒れる佐藤輝(撮影・垰建太)

平田は佐藤輝にこう伝えている。「プレー以外のところも見られているぞ」と。それは前々から言われていたこと。例えば三振したケース。三振もする。これは当たり前だが、そのあとの態度というか動きに、必死さやひたむきさが伝わってこない。これはベンチもわかっている。

学生時代、特に大学の時は西のスラッガーとしてもてはやされ、苦しい経験を多分、したことがなかったと思う。ドラフトで競合の末、阪神が引き当て、一身に期待を受け、大事に、大事に扱われてきたはず。それなりの成績を過去2年に積み上げたけど、それが3年目、自分の計算とは大きく違ったのであろう。相手バッテリーに同じような攻めにあいながら、一向に対処、克服できぬまま、もはや怖さもうせた。

岡田は佐藤輝をこう評した。「ホンマ、不思議なバッターよ。状態がいいのかどうか。それがわかりにくい。いいと思っていたら、長続きしないし、オレもこんな不思議な打者に出会ったことはない」。

不思議なスラッガー、佐藤輝。横浜から名古屋へ、ひとり新幹線で移動したその時の気持ちはどんなものだったか。ケガや故障ではなくての2軍だ。これをどう自分でとらえるのか。いきなり2軍戦で3安打を記録したが、そんなことで満足してもらっては困る。

阪神OBからも「もっと練習しなければ」と指摘され、また別のOBからは「打席での態度で損している」とも言われた。

それらをすべて含んでヘッドコーチの「プレー以外にもみられている」という言葉に行き着く。2軍では打つ。でも1軍では打てない。こういう選手を、これまで多くみてきた。そういうイメージを定着させてほしくない。岡田は今後、後半戦の攻撃力のキーマンに「佐藤輝」と即答。カギを握るとした選手に下した2軍行きは、立て直してこい! のメッセージなのだ。

佐藤輝とファーム…。これはまったく似合わない。チームが初めて直面した窮地に、キーマンはいない。何日か後、どう変化して1軍に戻ってくるのか。岡田と平田の気持ちがどう届いているのか。楽しみに待つとしよう。【内匠宏幸】(敬称略)