阪神タイガースを取材しておよそ50年になる。初めて担当記者になった時の監督は後藤次男。仏のクマさんと呼ばれ、怒った姿を見たことがなかった。まさに「和気あいあい」。これでは勝てるわけなかった。
そこから外国人監督のブレイザー、さらに村山実、吉田義男の複数回復帰を経て、新しいタイガースに進んでいった。
画期的だったのが他球団の血を取り入れたこと。野村克也、星野仙一と続いた外様政権はセンセーショナルだった。
そして今回、藤川球児が新監督に就任。岡田彰布からバトンを受け継ぎ、44歳の若い監督の誕生となった。球界最年長からリーグ最年少監督へ。これも時代の要請だったのだろう。
岡田と球児(あえてこう書かせてもらう)の共通項。野手と投手、大卒と高卒。大きく違うところで存在したのがドラフト1位入団ということだ。
阪神の長い歴史の中、ドラフト1位で監督に上り詰めたのは3人だけである。ドラフト自体、歴史に限りがあるから吉田や村山は当てはまらない。ということで岡田と球児、そして星野なのだが、星野は中日のドラフト1位。阪神のドラフト1位で入り、監督になったのは2人だけで、これが唯一の共通項となる。
中村勝広、真弓、和田、金本、矢野と歴代の監督もプロ入りはドラフト1位ではなかった。そういう意味では岡田と球児は、エリートの道を歩んできたことになる。
かつてのドラフト1位の監督が挑むドラフト会議が10月24日に開かれる。昔、選ばれる側だった人間が、今度は選ぶ側になる。この原稿が読まれる頃には、すでに1位指名が決まっているかもしれないが、果たしてタイガースは「誰」を指名するのか。報道では関大の金丸が有力となっているが、あえて競合を覚悟していくのか、それとも方向転換して一本釣りのサプライズがあるのか。競合覚悟なら「岡田型」、一本釣りなら「球児型」と、かつてのドラフトを思い返すことができる。
「まあ、正直、オレはクジ運が悪かったもんな」。この時期になると岡田のボヤキを思い出す。阪神での1次政権時、オリックス監督時、そして第2次阪神政権時、岡田はことごとくクジ引きに敗れてきた。自分が引かれる立場の時は6分の1で希望球団(阪神)に引き当てられた強運も、引く側では通用しなかった。それでも負けて指名した森下のような成功例もあった。
競合になった場合、球児がクジを引くと決まったようだ。果たして球児の運は強いのか、弱いのか。ここはひとつ、岡田超えの初仕事といきますか…。(敬称略)【内匠宏幸】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)




