参入3年目を迎える独立リーグ、BC・神奈川。球団初のNPB入りを目指すドラフト候補がいる。最速154キロ右腕、日高拓海投手(23=武蔵大)だ。今季の目標を「神奈川初のプロ野球選手になることが最大目標です。そこに向けて、1日を無駄にせずにやるだけです」と掲げる。

中学時代は背番号「14」の控えセカンド。東海大高輪台(東京)では甲子園出場もなく、大学時代も2試合の登板に終わっていた。BC・神奈川入団後、日本ハムなどで活躍した乾真大投手兼任コーチ(33)と出会い、野球人生が大きく前進した。

身長178センチ、体重90キロ。力強い速球、鋭く落ちるスプリットが武器の大型右腕だ。入団1年目の昨季は救援で29試合に登板し、防御率2・63の成績を残した。「学ぶことが多かったです。特に乾さんには付きっきりでキャッチボールをしてもらいました。フォームも変えるように助言を頂いて、その通りにしたら1年間でMAXが2キロアップしました」。左足を大きく上げ、前で離していたリリースポイントを、上からたたくようにした。すると「角度が出ました。SFF(スプリット)も落ちるようになって、全然変わりました」と笑顔で説明。続けて「乾さんがいなかったら、今の自分はいないと思います」と感謝した。

高校3年の8月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた影響で、大学時代のほとんどをリハビリに費やした。一時は野球をやめかけたこともあった。そんな苦労人を乾兼任コーチは見捨てなかった。乾は「本人が大学時代に不完全燃焼で終わったと聞いていたんで、何とかしてあげたかったんです。スピードはもちろん、変化球も良い投手です」と評価する。

大卒2年目の今年は「挑戦したいと思って」と、高3夏以来の先発転向に挑む。さらに昨秋までDeNAの1軍投手コーチだった川村丈夫氏が監督に就任するなど、変化の1年を迎える。日高は「いろんな人の支えがあって、今の自分がいると思います。絶対プロに入って恩返ししたいです」と真っすぐな目で抱負を話した。【阿部泰斉】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

◆日高拓海(ひだか・たくみ)1998年(平10)12月9日、東京都大田区生まれ。東京城南ボーイズから東海大高輪台、武蔵大を経てBC・神奈川入団。50メートル走は6秒1。遠投115メートル。好きな有名人は山本舞香。高校時代は多い時で1日8合を食べ、3年間で体重を18キロ増やした。