10月中旬、平塚球場に入ると思わず口ずさんでしまった。首都大学野球が行われる球場では、今流行りのJPOPや、TikTok(ティックトック)で耳にしたことのあるKPOPが流れている。試合が始まっても、三振を取ったときや、選手交代の際、まるでプロ野球のように、球場が沸くような効果音が流れてくる。

発起人は日体大の古城隆利監督(54)だ。18年、U18大学日本代表コーチとして、オランダを訪れた。そこでは、球場が観客を巻き込んで盛り上がる光景が目に留まった。「音楽使ったり、雰囲気をつくったり、ベースボールを楽しんでいた」と振り返る。日本に帰って、日体大が所属する首都大学野球に取り入れることに決めた。

「首都劇場」と名付けられたライブ配信では有志の学生が実況、解説を行い試合中継を行っている。配信班は古城監督の息子、和馬さん(4年)がまとめる。コロナ禍でなかなか交友関係が広げることが難しい中で、配信班としての野球部の入部を勧められた。父の助言で充実した学生生活も送ることができ、「つながりが広がって良かった」と話す。

大学野球ファンにとっても、学生にとってもプラスになっている。古城監督は「スポーツはすると見るが今までだった。今度は盛り上げるとか、発信するとか、研究するとかいろんな側面から学んだり携わることが出来るので、そいいう道を広げていきたい」と語った。

リーグの使用球場が満員になる日も遠くはない。「音楽をかけて楽しそうだなと球場をのぞいてみたいなと思ってもらいたい」。これからも首都大学野球の運営改革は続いていく。【星夏穂】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

首都大学野球で配信班をまとめる古城和真さん(撮影・星夏穂)
首都大学野球で配信班をまとめる古城和真さん(撮影・星夏穂)