阪神中野拓夢内野手(27)は交流戦中、自身を慕う後輩にも寄り添っていた。古巣の三菱自動車岡崎は、都市対抗野球が行われる東京ドームへの出場権をかけて5月下旬からの東海地区予選を勝ち抜き、6月5日に第1代表決定戦に臨んだ。

大一番で待っていたのは悲劇的なシーンだった。中野の3学年下で、東北福祉大と三菱自動車岡崎の後輩である斎藤育輝内野手(24)は、延長10回タイブレーク1死満塁で失策。チームはサヨナラ負けを喫し、7年ぶりの東海地区一番乗りを逃した。

斎藤は「頭が真っ白で『どうしよう』と。立ち直れず、引きずりました」。やっとつかめた3年目でのレギュラー。寝付けない斎藤の元に続々と励ましの言葉が届いた。そのうちの一通に、同社OBの阪神富田蓮投手(22)を通じて届いた中野の激励メッセージもあった。

「切り替えて頑張れよ」。

背中を押された斎藤は、7日の第2代表決定戦で遊撃への当たりが続いた4回の場面で、難なく打球をさばいた。チームは勝利し、2年連続の代表権を獲得した。「『よし!やってやろう』って。中野さんの言葉は、力がみなぎってくる。そういう力を持っている方。拓夢さんの活躍とか、(自分たちを)見て応援してくれて力になるし、拓夢さんに続くじゃないですけど、そういう内野手を目指したいです」。

古巣が歓喜に沸いた翌8日、阪神は5カードぶりのカード勝ち越しを決めた。先制打を放った虎党のヒーロー中野は、社会人の後輩たちにとってもヒーローだった。【遊軍 中島麗】

阪神中野拓夢の東北福祉大と現役の三菱自動車岡崎の選手である後輩たち。中野の1学年下の弟分・里見治紀(右)と3学年下で中野と同色のグラブを使用する斎藤育輝
阪神中野拓夢の東北福祉大と現役の三菱自動車岡崎の選手である後輩たち。中野の1学年下の弟分・里見治紀(右)と3学年下で中野と同色のグラブを使用する斎藤育輝
阪神対西武 3回裏阪神1死一、二塁、一塁線を破る適時二塁打を放つ中野(2024年6月8日撮影)
阪神対西武 3回裏阪神1死一、二塁、一塁線を破る適時二塁打を放つ中野(2024年6月8日撮影)